銀行の融資審査に通らない理由はいろいろとありますが、行きつくところは融資の返済に懸念が持たれる場合です。
今回は銀行の融資審査に通らない理由として業績のトレンドについて説明をします。
業績のトレンド
銀行融資の審査の大黒柱は業績です。
この業績ですが、単純に直近の決算状況だけを見ているのではありません。
簡単に言えば直近の決算が黒字か赤字かだけを見ているのではありません。
過去からの業績のトレンドを銀行は見ています。
この業績のトレンドの中でも特に銀行が気にしているのが、
1.売上
2.現預金水準
3.借入金
のトレンドです。
1.売上のトレンド
過去からの売上のトレンドを見て、この融資先は伸びている先なのか、あるいは衰退傾向にある先なのかを大雑把に掴みます。
売上が伸びている場合にはさほど気にすることはありませんが、売上が低下傾向にある場合には今後の行く末はどうなのかを融資先の業務内容や外部環境を照らし合わせて判断をしています。
簡単の言葉で言えば売上がジリ貧になっていないかどうかです。
年々売上が低下している、ジリ貧の状態では融資が返済されない懸念が増加します。
売上のジリ貧は銀行の融資審査が通らない理由の1つの要因となります。
2.現預金水準のトレンド
売上のトレンドと照らし合わせて現預金の残高水準のトレンドを確認しています。
売上が伸びており業績が順調であれば、現預金残高は増加するはずです。
現預金の水準は融資先が儲かっているのかどうかを図るもっとも客観的な指標です。
現預金は嘘をつきません。
売上が伸びており業績が順調であれば、その利益の蓄積として現預金も増加するはずです。
逆に売上が伸びており、業績も順調と見られるものの、一方で現預金水準がそれに比例して増加していない、あるいは減少している場合には決算書の信ぴょう性を含めて疑問を感じます。
業績が順調であるにも関わらず、現預金水準がそれに比例して増加していない、あるいは減少している場合には、儲かった利益が何に使われているのかを貸借対照表などで探ります。
設備投資など前向きな分野に資金が投入されている場合には良いのですが、投融資など本業には直接関係のない分野に資金が投入されている場合には要注意です。
投融資は基本的に事業には直接、関係がないものです。
事業に関係がない、つまり収益を生み出さないものに多くの資金が投入されているということはその後の資金繰りの悪化が懸念されます。
投融資に多くの資金が投入されている場合も銀行の融資審査が通らない理由の1つとなります。
3. 借入金の水準
借入金のトレンドも売上のトレンドと照らし合わせて判断をします。
売上や利益の増加トレンドと比例して借入金が増加している場合には、さほど問題はないのですが、明らかに借入金が増加しすぎ、あるいは売上や利益が減少しているのに借入金が増加している場合には、銀行は警戒心を抱きます。
売上が増加すればそれに比例して運転資金需要が高まるのが一般的ですから、それに見合う借入金の増加は通常の範囲内と言えます。
しかし明らかに借入金の増加が目立っている場合には、その使途を含めて融資先の業績に懸念を抱きます。
銀行融資を受ける、受けないだけではなく、この①売上のトレンド②現預金水準のトレンド③借入金のトレンドを確認することは業績や資金の使い方の健全性を確認するのに有効な指標です。