不動産売買業は不動産を仕入れしてそれを販売するのが事業ですから、不動産の仕入れのためには資金が必要です。
銀行ではこの不動産の仕入れのための資金を融資により支援をしています。
不動産の仕入れのための融資の特徴について説明をします。
1つの具体例として土地を購入しその土地上に住宅を建築して戸建住宅として販売するケースで説明をします。
目次
不動産の仕入れのための融資の対象
土地を仕入れして住宅を建築して販売するケースでは、土地の仕入れ資金や住宅の建築資金の他に税金などのいろいろな費用の負担があります。
銀行によって融資の対象は異なるところではありますが、一般的に銀行の融資の対象となるのは土地の仕入れ資金及び住宅の建築資金となり費用等は融資の対象とはなりません。
事業計画が必要
まず銀行に不動産の仕入れ融資を相談する際には、該当する不動産プロジェクトの事業計画の提出が必要です。
不動産の仕入れ代や建築代及び費用負担などのコストがどのくらいかかるのか、そして販売見込み価格はいくらなのか、差し引き利益はどのくらい獲得できるのか、そしてこの一連のプロジェクトはいつ頃に収束するのか、つまりいつ頃売れる見込みなのかが事業計画の内容において最低限必要な情報となります。
返済方法は一括返済
不動産の仕入れ融資の返済方法は一括返済です。
不動産の仕入れ融資の返済原資はこの例ですと住宅の売却資金です。
住宅の売却資金でもって不動産の仕入れ融資は一括返済をします。
他の不動産案件の状況がわかるものを準備する
今回の不動産の仕入れ融資とは直接には関係がありませんが、他に同様に不動産プロジェクトを手掛けている場合でまだ売却に至っていない案件がある場合にはその状況がわかる資料の準備が必要です。
これは銀行の方で他のプロジェクト案件において長期間売れていない案件がないかどうかを確認するためです。
不動産仕入れ融資において銀行が行っていること
不動産仕入れの融資において銀行が審査手続きで行っていることを説明します。
不動産の担保評価
不動産仕入れの融資においては当該不動産を銀行は担保に徴求します。
そして銀行の不動産仕入れ融資はこの担保価格の範囲内で行われることとなります。
不動産の担保評価を行う理由としてはこのように融資金額を担保価格の範囲内にする目的の他に、仕入れ価格が妥当なものかどうかを確認する目的もあります。
現地調査
不動産仕入れの融資においては事前に銀行がその物件を目で確認をしています。
銀行員は不動産のことはよくわかってはいませんが、今回の例ですと住宅として販売するためですから住宅としてふさわしい環境の場所なのかどうかを確認しています。
銀行員自身が「これなら自分も買う」という気持ちになるかどうかという観点で現地調査をしています。
販売価格の妥当性
販売予定価格が妥当な水準なのかどうかを確認しています。
さきほどの担保価格の他に、ネットの情報や他の不動産会社への聞き取り等におって販売予定価格が妥当な範囲内なのかどうかを確認しています。
不動産仕入れ融資の実務
不動産の仕入れの融資は融資実行と融資返済の2つの局面において特徴的な実務があります。
融資実行時
不動産の仕入れ融資は仕入れのための不動産売買が行われるときに融資が実行されます。
実務的には不動産売買を行われる場所に銀行員が立ち会い、融資実行により不動産売買がきちんと成立し所有権は仕入先に移転することと、担保設定登記がきちんと可能であることを確認できてから不動産仕入れの融資を実行します。
融資返済時
不動産仕入れの融資の返済原資は当該不動産の売却資金です。
したがって不動産売却のための売買手続きが行われる場所にやはり銀行員が立ち会って不動産売却がきちんと行われその売却資金でもって不動産仕入れの融資が返済されたことを確認してから、担保抹消のための書類を渡します。