小口零細企業保証は全国の制度で小規模な会社や個人事業主が利用できる信用保証協会の保証制度です。
この小口零細企業保証の残金がある状態で小口零細企業保証を利用して追加融資が受けることができるかどうかが今回のテーマです。
目次
小口零細企業保証に関する質問
現在、信用保証協会の小口零細企業保証制度を使って信金から1,000万円を期間7年で借入しました。
現在3年が経過して残金は600万円ほどとなっています。
最近の業績が悪化しており追加融資を受けたいのですが、残金がある場合でも小口零細企業保証を使って追加融資を受けることは可能でしょうか。
可能であれば500万円の追加融資を受けたいと考えています。
この場合、信用保証協会からの追加融資は可能でしょうか?
小口零細企業保証とは
小口零細企業保証制度は全国の信用保証協会で取り扱いがある保証制度で、従業員が製造業で20名以下、商業・サービス業で5名以下の小規模法人や個人事業主を対象としている保証制度です。
小口零細企業保証制度の利用限度額は昔は1,250万円でしたが、今は2,000万円となっています。
限度額は他の利用制度との合計額
小口零細企業保証制度の利用限度額は2,000万円ですが少し注意が必要です。
この利用限度額2,000万円は小口零細企業保証以外の保証制度の利用額を合計で2,000万円以内ということです。
したがって仮に小口零細企業保証で1,000万円、他の保証制度で1,000万円、合計2,000万円の信用保証協会の保証利用があれば、この時点では追加で小口零細企業保証は利用できないということです。
小口零細企業保証は責任共有対象外
信用保証協会の保証制度ですが、これは信用保証協会が銀行等の金融機関に返済の保証を行うというものです。
そしてその保証割合は80%というのが原則です。
つまり万が一、融資先が倒産などして返済ができなくなった場合、その時点で融資残高の80%は信用保証協会が銀行等の金融機関に返済をしますが、残りの20%は銀行等の金融機関の負担だというものです。
この信用保証協会の保証割合が80%である制度を責任共有制度と呼ばれています。
責任共有ですから信用保証協会と銀行等の金融機関がそれぞれ責任、つまり貸倒リスクを負担するということです。
ところが小口零細企業保証はこの責任共有制度の対象外です。
つまり信用保証協会が80%ではなく100%の返済保証を行うということです。
したがって銀行等の金融機関にとっては貸倒の心配がないということです。
そのため責任共有対象外制度である小口零細企業保証は銀行等の金融機関にとっても安心できる保証制度です。
小口零細企業保証は残金があっても追加利用ができるか?
さて、今回の質問に移ります。
まず小口零細企業保証は以前利用したものの残金が残っている状態でも追加利用ができるかどうかですが、答えは大丈夫です。
以前利用した小口零細企業保証による融資を完済しない限り、再び小口零細企業保証を利用した融資が受けられないということはありません。
したがって以前利用した小口零細企業保証1,000万円の残金が600万円残っていても、追加で小口零細企業保証を利用することは可能です。
ただし前提条件があります。
他の保証制度を利用している場合
さきほども説明をしましたが小口零細企業保証の利用限度額は2,000万円ですが、これは他の保証制度との合計額です。
したがって現在の小口零細企業保証の残金が600万円で、他の保証制度を1,400万円以上利用していると追加で小口零細企業保証を利用することはできません。
小口零細企業保証の利用限度額は他の保証制度との合計であるという点は注意が必要です。
他の保証制度を利用していない場合
他の保証制度を利用しておらず、小口零細企業保証の600万円だけ利用しているのであれば、理論上は利用限度額との差額である1,400万円までは小口零細企業保証の追加利用が可能となります。
しかし利用限度額まで利用ができるかどうかは業績などの審査でOKとなることが条件です。
足元の業績が悪化しているとのことですので、小口零細企業保証の利用限度額までの利用は難しいかもしれません。
元の金額までは利用可能性が高い
審査がありますので絶対とは言えないのですが、当初の小口零細企業保証の利用額の1,000万円まで、つまり追加融資400万円までは利用できる可能性は高いと考えられます。
これを超えて小口零細企業保証の利用ができるかどうかは、足元の業績や今後の見込み等が審査に影響してきますので難しいかもしれません。
したがって現実的には今は追加融資400万円で資金繰りを維持させて、その後の業績の回復をにらんで再び小口零細企業保証の追加利用を検討されてはいかがでしょうか。
追加融資は取組回収が一般的です
なお小口零細企業保証の追加融資ですが、融資の実務においては追加分の400万円を残金600万円の融資とは別に融資するという例はあまりありません。
取組回収などと呼ばれていますが、現在の残金の600万円を同時返済を条件として新たに1,000万円の小口零細企業保証にて融資が行われることが一般的です。
前者の400万円を別の融資で行うとそれだけ毎月の返済額が増加します。
1,000万円で取組回収で実質的に400万円の追加融資を受ける形態であると返済額は現在の同じ水準となり返済負担が増加するということにはなりません。