工事を受注するとその工事代金の受領までに資金の立替が生じることが多くあります。
資金繰りを圧迫するわけですが、このような工事受注による資金需要に対して銀行では工事見合い資金融資を準備しています。
工事見合い資金とは何か、工事見合い資金融資の借り方について説明をします。
目次
工事受注による資金需要
建設業や内装工事業などにとって事業の源泉は工事の受注です。
したがって工事の受注はそもそも歓迎すべきことです。
ただし工事受注は資金繰り面においては悩みの種になることが少なくありません。
工事受注は歓迎すべきことであるが、資金繰り面では悩みの種になりうる
工事代金は後払い
工事受注が資金繰り面で悩みの種になる理由を1つの例で説明をします。
例えば工事受注代金が1,000万円で、工期が6ヶ月の工事を受注するとします。
工事を始める前に工事代金1,000万円を前払いで受け取ることができれば資金繰り面で悩むことはありません。
ところが工事代金を工事を始める前に受領することはほとんどなく、大半は工事が完了してから工事代金を受け取ることが多いはずです。
工事を行うには原材料を仕入れしたり、職人さんへの給料の支払い、外注先への支払いなどさまざまな支払のための資金が必要となります。
しかし工事代金が手元に入ってくるのは工事が完了してからです。
工事代金を受け取るまでの原材料の支払いなどは一旦立替をする必要が出てきます。
このため資金繰りの悩みの種になるのです。
工事代金は後払いのため資金繰りの悩みの種になる
工事見合い資金とは
この資金繰りの悩みの種に対応するために工事見合い資金の融資が登場します。
工事見合い資金とは工事代金の受け取りまでの資金の立替に対応する銀行の融資です。
工事に伴い必要となってくるさきほどの原材料の仕入資金や職人さんへの給与の支払い、外注先のへの支払いなどの資金を対象とするのが工事見合い資金です。
工事見合い資金の融資を借入してこれらの支払に充当し、工事代金を受け取ったらその代金で工事見合い資金の融資を返済するわけです。
工事見合い資金とは工事受注に伴い先立つ各種支払いに対応するための融資
工事見合い資金の借り方
では工事見合い資金はどのように銀行から借入したら良いのか、工事見合い資金の借り方を説明します。
まずは工事の請負契約書を銀行に提出する
工事見合い資金の融資を借入するには、まずは工事の請負契約書を提出してください。
工事の請負契約書はもちろんコピーで大丈夫です。
工事請負契約書には受注代金や工期、工事代金の受け取り方法などが記載されているはずです。
工事原価を説明する
工事見合い資金の対象は工事の原価部分です。
したがってその工事を受注するのにどのくらいの原価が発生するのかを銀行に説明してください。
総額での説明ではなく、原材料や人件費、外注費などの項目毎に分けて工事原価を説明するようにしてください。
工事代金は融資を受ける銀行口座を指定する
工事見合い資金を融資する銀行にとってその工事見合い資金の融資の返済原資は工事代金そのものです。
工事代金は振込で受け取ることが圧倒的に多いと思いますが、その振込先は工事見合い資金の融資を受ける銀行の口座を指定することが絶対条件です。
仮に融資を受ける銀行以外の口座を指定した場合には工事見合い資金の融資を受けることはできません。
工事代金は工事見合い資金の融資を受ける銀行口座を指定することが絶対条件
上記3つのことが工事見合い資金の融資を利用するにあたっての絶対条件です。
これに加えて銀行からは足元の業績を確認するために試算表など追加の資料の提出が求められることがありますが、追加資料を求められたら銀行に提出するようにしてください。
工事見合い資金の返済方法
工事見合い資金の返済原資は工事代金ですから、工事見合い資金の返済方法は原則として工事代金の受領に合わせた一括返済となります。
仮に工事代金が分割にて支払される場合には、工事見合い資金もその時期に合わせて分割返済となります。
ただし銀行での工事見合い資金の融資審査の結果、毎月の分割返済となることもあります。
工事見合い資金のまとめ
以上、工事見合い資金をまとめますと次のようになります。
まとめ
・工事見合い資金を借りるには工事請負契約書、工事原価表の提出が最低必要
・工事代金は工事見合い資金の融資を受ける銀行口座を指定する
・工事見合い資金の返済方法は工事代金受領に合わせた一括返済が原則