赤字の意味
融資を返済する元手は基本的に利益です。
黒字であって初めて融資の返済が可能となります。
では赤字の場合はどうか。
赤字だからといって直ちに資金繰りが枯渇してしまい返済が出来ないということになりませんが、赤字が資金繰りを圧迫することは確かなことです。
銀行からすると融資は返済してもらわないといけません。
その点、赤字の場合には直ちに返済が出来ないとは考えないまでも返済可能性が低下する可能性は間違いなくあるため銀行は警戒するのです。
貸した金が返ってくるかどうか不安を覚えるのです。
契約を変えて融資の返済は請求できない
こうなると銀行としては赤字により返済可能性が低下している融資を一刻も早く回収したくなります。
赤字が続いてますます返済可能性が低下する前に、融資を回収したいということです。
しかしお金を借りている側には「期限の利益」と呼ばれる権利があります。
例えば1,000万円の融資を期間5年で毎月の分割返済で利用している場合、借りている側は融資の契約通りに毎月きちんと返済している場合には銀行は直ちに返済を求めることは出来ません。
借りている側からみると毎月、契約通りに返済を続けていれば当初の5年間の融資はそのまま受けられます。
これが「期限の利益」です。
銀行はいきなり返済を求めることは契約違反になるのです。
もっとも返済が遅れる、つまり延滞が発生した場合、毎月返済をするという契約を借りている側が違反したことになりますから、この場合には「期限の利益」を失い銀行は直ちに全額の返済を求めることは可能となります。
(ただし延滞が発生したからといって直ちに全額返済を求めることは稀です)
短期融資の場合には要注意
さきほどの例は融資期間が5年の長期融資の例でしたが、融資期間が短期の場合には注意が必要です。
例えば1,000万円を期間6ヶ月で期限一括返済の手形貸付にて融資を受けている場合です。
よくあるケースとしてこのような短期融資の場合には6か月後に手形の書換を行い、さらに向こう6ヶ月の融資を受けることで実質的に返済することなく融資が継続されます。
しかし融資の契約としてはあくまでも期間が6ヶ月ですから銀行はその期限が到来すれば返済を求める権利を得ることになります。
赤字の場合には手形の書換による融資の継続に応じることをせずに契約にしたがって6か月後の期限到来時に返済を求めることが可能となるのです。
赤字だからといって一切融資の継続に銀行が応じないとは言えませんが、赤字が続くと銀行が継続に応じずに期限に返済を迫ってくることはあり得ます。