住宅ローン審査の返済比率は35%が限界

銀行での住宅ローン審査はいろいろな項目がありますが最も重要な審査指標に返済比率というものがあります。
ここではこの返済比率について融資担当の銀行員が説明をします。

返済比率とは

この図は返済比率の計算式です。
つまり返済比率というのは年収対比どれだけ返済負担があるのかということです。
言い方を変えると年収のうちどれくらいの割合を返済に回さなければならないかということです。

収入について

返済比率で使用する収入ですが、サラリーマンの場合には税込み年収が用いられます。
税引き後や社会保険料などの各種控除後の収入ではありません。
一方で個人事業主の場合では住宅ローンの返済比率に用いられる収入は所得です。
収入、つまり売上高ではありません。

借金の年間返済額

住宅ローンの返済比率の分子である借金の年間返済額は住宅ローンの年間返済額だけではありません。
もし他の借入金があればその年間返済額も住宅ローンの返済比率に影響を与えます。
教育ローン、車のローン、カードローン、消費者金融、クレジットカードのキャッシング、クレジットカードのリボ払い、クレジットカードの分割払いなどがあれば、これらの年間返済額が住宅ローンの返済比率を計算する際に加算されることになります。

住宅ローンの返済比率の事例

では住宅ローンの返済比率を理解するためにあるAさんの事例で考えてみましょう。
Aさんの年収は600万円です。
住宅ローンを借りたいと考えていますが、現在Aさんはマイカーローンを利用しておりその年間の返済額は40万円となっています。
Aさんは新築のマンションを購入したいと考えており住宅ローンで3,500万円を借入することを計画しています。
そして住宅ローンの年間返済額はざっと200万円となります。
さてこの場合のAさんの返済比率は次のようになります。

住宅ローンの返済比率の上限は35%！

さて住宅ローンの返済比率ですが上記の計算式からわかるように返済比率が低いほど返済負担が小さく、返済比率が高いほど返済負担が大きくなります。
そして住宅ローン審査における返済比率の上限はずばり35%です。
返済比率が35%以下であればおおむね住宅ローンを含む借金の返済は安全に可能な水準です。
一方で返済比率が35%を超えてくると返済が苦しくなり、毎月安定して返済できるかどうか危なくなります。
Aさんの返済比率は40%でした。
したがってAさんは住宅ローンの審査が通らない可能性が高いと言えます。

住宅ローンの返済比率を下げるには

それでは住宅ローンの審査基準である返済比率をクリアするためにどのようなことをすれば良いのでしょうか。

借金の年間返済額を下げる

住宅ローンの返済比率を下げるために理論的には収入を上げるか借金の年間返済額を下げるかのどちらかになります。
ただし収入を上げるといっても短期的には容易なことではありません。
したがって現実には借金の年間返済額を下げることが住宅ローンの返済比率の基準をクリアするための現実的な対策となります。
そして借金の年間返済額を下げるには他の借金を作らないという一言に尽きます。
もっとも教育ローンや車のローンなどやむを得ないこともあるでしょう。
肝心なのはカードローンやクレジットカードのリボ払いや分割払いは利用しないような生活設計を心掛けるということです。
カードローンやクレジットカードのリボ払い、分割払い、キャッシングは住宅ローンの返済比率を上げるばかりではなく、属性面においてもマイナス評価がされることがあります。

住宅ローンの返済比率35%は生活の健全度の分岐点

返済比率は35%までだと説明しました。
住宅ローンの審査基準として返済比率が35%までだという意味ですが、これは私たちが健全な生活が出来るかどうかの分岐点としても応用することが出来ます。
銀行の住宅ローン審査基準である返済比率が35%までとする考え方は長年の住宅ローンの取扱実績が背景にもあります。
住宅ローンは超長期のローンであり銀行としては毎月安定して返済ができる人と考える場合のみに住宅ローンを提供しています。
ということは私たち個人がローンを抱えても返済比率が35%までであれば、返済負担をそれほど感じることなく、日常生活を十分に安定して送ることができる水準だとも言えるのです。
一方で返済比率が35%を超えて来ると返済負担を重く感じるようになり、生活費を絞るなど日常生活の水準にも悪い影響を与えてしまう可能性があるということです。
住宅ローンの審査に通るかどうかも大切ですが、これからの生活が安定して送れるかどうかの目安としてもこの返済比率が重要な指標として利用できるのです。

住宅ローン審査の返済比率は35%が限界のまとめ

以上、住宅ローンの返済比率についてまとめますと次のようになります。