お金を借りるのに手形の振出(発行)を求められることがあります。
手形を発行してお金を借りる方法は実は銀行でもよくあることです。
また町の金融業者を利用する際にも手形の発行を求められることがあります。
仕組みを説明します。
銀行での手形貸付
銀行からの融資の形態の1つに手形貸付というものがあります。
例えば運転資金として銀行から1,000万円を借入する場合に、銀行に手形金額1,000万円の手形を発行して借入をする方法です。
手形には金額の他に受取人、振出日、振出人、支払期日、支払地が記載されています。
金額は借入金額です。
受取人は借入をする銀行です。
振出日は手形の発行日付ですが、これは借入が実行される日となります。
振出人というのは手形の発行者。
つまり銀行から借入をする会社や人です。
支払期日は手形金額を支払う日のことで、借入期日となります。
そして支払地は手形を支払う場所のことですが、これは借入を受ける銀行の支店となります。
借入を受ける際にはよく金銭消費貸借契約を締結しますが、実は手形がこの金銭消費貸借契約に相当するのです。
銀行融資の実務上においては1年以内の短期融資の際によくこの手形貸付の形態がとられています。
金融業者の場合
銀行では町の金融業者からお金を借りる場合には、銀行のように借入の債権書類として手形を差し入れる場合の他に、返済用として手形の発行を求められることがあります。
例えば300万円の借入を24回払いで借入する場合で考えてみます。
利息を含めて総額360万円を24回払いで支払うとします。
毎月の支払額は15万円となります。
この毎月の返済分として手形の発行を求められるのです。
つまり支払期日が1ヶ月毎異なる金額15万円の手形を合計24枚発行してそれを金融業者に渡すのです。
金融業者は毎月、その手形を取立に出して返済を受けることとなります。
強い圧迫感
この金融業者の方法は借りる会社や人に対して非常に強い圧迫感を与えることとなります。
毎月、返済用として手形の取立に出され、それが落とせない、つまり決済できない場合には不渡り処分を食らうこととなります。
不渡りの事実は世の中の公表されますから、その後の事業継続に重大な支障が生じて事実上の倒産になってしまいます。
そのため非常に強い圧迫感を受けることとなります。
銀行の手形貸付の場合には銀行がその手形を取立に出して不渡りにするということはよほどのことがない限り、そのような対応は取られません。
したがって金融業者のこの手法はとても強力な対応だと言えるのです。