銀行に融資を申し込んだときに取締役会議事録を提出するように依頼を受けることがあると思います。
なぜ銀行が融資関連で取締役会議事録の提出を求めるのかを説明します。
質問
私が代表する株式会社で金融機関に融資の申し込みをしました。
その銀行では融資の申し込みにあたり取締役会を開催し、同会の承認を得た議事録が必要だと言われました。
私は、全責任は代表権のある私にあるから他の取締役の承諾は不必要ではないかと聞きましたが、「必要です」とだけ言われています。
なぜ銀行融資の申し込みに取締役会の承認が必要なのでしようか?
回答
会社の土地を銀行融資の担保にしたり、会社の規模対比多額の借入をする場合などに取締役会の開催が必要なケースがあります。
取締役会の開催が必要な場合として会社法第362条では次のように規定されています。
(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
5 大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。
銀行融資で関係してくるのは「重要な財産の処分及び譲受け」と「多額の借財」の部分です。
重要な財産の処分には担保の提供も含まれます。
今回の融資においては会社の不動産などの担保設定等がありますでしょうか?
このような場合には代表者と言えども単独で業務を行うことが出来ず、取締役会を開催しその議決が必要なのです。
銀行融資においては取締役会の議決が行われていることを確認するために、取締役会の議事録を徴求することが実務となっています