銀行の融資の多くは運転資金や設備資金ですが、賞与資金という融資があります。
従業員のボーナスを支払うための資金が賞与資金として銀行融資の対象です。
賞与資金の融資の受け方のポイント賞与資金に対する銀行の審査ポイントについて融資担当の銀行員が説明をします。
目次
賞与資金とは
賞与資金とは従業員に支給されるボーナスの支払いに充てるための資金を対象にした銀行の融資です。
事業者にとっては賞与資金は一度にまとまった支払いになるため、資金繰りが不安定になる可能性があります。
このような場合に銀行から賞与資金の融資を受けて資金繰りを安定させることができます。
役員賞与は賞与資金の対象外
なお役員賞与は賞与資金には該当しません。
役員賞与は別途、決算資金として融資の対象になります。
賞与資金の融資の対象となるのは社員に支払う賞与となります。
賞与資金は役員賞与は対象外。社員向けの賞与が対象
賞与資金の融資の申し込みポイント
それでは賞与資金の融資の申し込みポイントを説明します。
賞与額を明確にする
賞与資金の融資の対象は社員向けの賞与が対象となります。
そのため銀行に賞与資金の融資を申し込む際には、とにかく支給する賞与の額を明確に説明をする必要があります。
賞与資金の融資を申し込む際には支給する賞与の額を明確にする
賞与資金の必要額の説明方法
銀行に賞与資金の融資を申し込むにあたり、その必要額は次の項目で整理をして説明をしてください。
賞与資金の必要項目
・一人当たりの平均支給額
これらの2つの項目により賞与支給に必要となる資金額の総額は次の計算式となります
賞与資金の計算式
賞与支給額の過去の実績
また銀行に賞与資金の融資を申し込む際には過去の賞与支給額の実績も併せて説明ができるようにしてください。
直近2年分程度の賞与の支給額の実績で十分です。
賞与の過去の支給額を説明する
銀行における賞与資金の融資審査ポイント
では賞与資金の融資の申し込みを受けた銀行ではどのような観点から審査を行っているのかを説明します。
過去との実績比較
賞与資金の融資の審査において銀行がまず着目する点は過去との実績との比較です。
基本的に賞与の支給額は過去の実績と大きく乖離することはありません。
従業員一人一人の支給額はその人の実績によって大きく変動することもありますが、賞与の支給総額は過去と大きく乖離することはまずありません。
したがって銀行としては過去との比較において今回の賞与資金の融資申込金額が妥当な水準であるのかどうかを確認をしています。
他の資金使途の混入を警戒
なぜ過去の実績との比較を銀行が行うのかと言えば、それは賞与資金以外の他の使途の混入です。
例えば例年は1回あたりの賞与の支給総額が1,000万円程度の会社より、今回2,500万円の賞与資金の融資申し込みがあった場合を考えてみます。
今回の2,500万円の融資申込金額は例年の2.5倍です。
これは明らかに過去の実績と大きく乖離していると考えざるを得ません。
足元の業績がとても良好で従業員にそれを還元するといった納得の理由があれば別ですが、業績も過去とそれほど変化がない中で例年の2.5倍の賞与支給はやはり疑問符が付きます。
差額の1,500万円については賞与支給の目的ではなく、別の目的のためとの懸念が出てきます。
足元の業績が不振で赤字であれば、赤字のための資金繰りの補填が目的とも考えられます。
別の使途は別の融資で
もし別の使途の資金が必要であれば賞与資金とは別に銀行に融資相談をすべきです。
賞与資金の融資額に上乗せして申込をすべきではありません。
賞与資金の融資額に上乗せした方が銀行の融資審査が通りやすいといったことはありません。
賞与資金の融資期間
賞与は半年毎に支給されるのが一般的です。
したがって次の賞与支給までに完済することが原則で、賞与資金融資は期間半年の分割返済が一般的です。
そのため銀行に賞与資金の融資の申し込みをする際には向こう半年間の資金繰りの予定表を作成しておくと良いでしょう。
賞与資金の融資は比較的受けやすい
運転資金の融資や設備資金の融資に比べて比較的ではありますが、賞与資金の融資は銀行から受けやすいと言えます。
なぜなら資金使途が明確であり、かつ融資形態も期間6ヶ月の分割返済で短期間に融資が回収できるからです。
銀行融資の賞与資金とはのまとめ
以上、銀行の賞与資金の融資についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・賞与資金の融資は社員向けの賞与支払いを対象にした融資
・役員賞与は賞与資金の融資の対象外
・支給総額と過去の実績を明確にすることが賞与資金の融資の申し込みポイント