銀行が融資を断る理由でよくあるケースが「債務超過だから」です。
債務超過というのはどういう状態を指すのか、その意味するところはどのようなことなのかを説明します。
質問
小さな会社を経営しているものです。
担当の銀行員さんからよく「債務超過だからこれ以上の融資は難しい」と言われます。
債務超過とはどういうことですか?
そして債務超過だとどうして銀行融資が難しいのですか?
債務超過とは
この図は決算書のうち貸借対照表を示したものです。
貸借対照表の左側は資産が記載されています。
そして貸借対照表の右側は上の方が負債、下の方が自己資本を示しています。
自己資本というのは会社を設立する時に用意した資本金と会社を設立後、現在に至るまでの利益の蓄積を示しています。
つまり自己資本というのは資本金+利益の蓄積がどれくらいの金額なのかを示していることになります。
債務超過は自己資本がマイナス
債務超過というのはこの自己資本がマイナスの状態にあることを示しています。
自己資本がマイナスということですが資本金がマイナスになることはありません。
資本金というのはあくまでも会社を設立した時の元手ですから、これがマイナスになることはありません。
ということは自己資本がマイナスということは利益の蓄積が資本金を上回るマイナスだということです。
債務超過は赤字体質ということ
利益の蓄積がマイナスだということはこの会社は設立から現在までの利益の累計がマイナスだということです。
簡単に言えば赤字だということです。
銀行は融資を回収しなければならない
融資をする立場の銀行としては融資したお金が最後の1円まで回収、つまり返済してもらわなければなりません。
もし返済をしてもらえなく貸倒が発生すれば、その貸倒は銀行の損失ということになります。
銀行としても経営を維持していくためには利益を確保しなければなりません。
したがって貸倒という事態は絶対に避けなければならないのです。
貸倒が発生しないように銀行ではしっかりと融資審査を行うわけですが、その融資審査の根本は貸した金が返ってくるかどうか、融資先がきちんと返済できる能力を持っているかどうかの判断となります。
融資先がきちんと返済出来るにはまずは利益を出している、つまり黒字体質でなければなりません。
赤字体質であれば、それは融資をきちんと返済出来る能力に非常に懸念が持たれる状態です。
この点において債務超過ということはさきほども説明したように赤字体質だということですから、銀行は債務超過の先には融資を原則として行いたくないのです。
そのために債務超過は銀行が融資を断る大きな理由の1つなのです。