不動産業の会社からの運転資金融資に対する銀行の考え方はかなり厳しいものがあります。
なぜ不動産業に対して銀行は運転資金融資に厳しいのか、方法はあるのかを説明します。
不動産業に運転資金は必要ですか?
会社宛の運転資金の融資は銀行の代表的なものですが、不動産業者に対しての運転資金融資には銀行は慎重姿勢です。
なぜなら、不動産業というのは基本的に現金商売であり運転資金が不要の業種だからです。
運転資金というのは掛け売りなど売上金の回収が仕入代金等の支払時期よりも後になる場合に必要となる事業資金です。
現金商売であれば売上金はすぐに回収となりますから、仕入代金等の支払は回収した売上金で対応することが出来るはずです。
つまり資金の立替が発生しないのです。
このため、現金商売が基本である不動産業者に対しては、銀行は運転資金融資に慎重なのです。
現金商売であるにも関わらず運転資金が必要となる大半のケースは赤字の補填です。
赤字の補填とわかっていて簡単に銀行が融資に応じるわけがありません。
不動産の仕入資金はプロジェクト資金
ここで反対意見があると思います。
不動産賃貸業とか管理業であれば、運転資金は不要かもしれませんが不動産売買業の場合には不動産を仕入する必要がありそれは運転資金ではないかと。
確かに不動産売買業であれば販売するための商品の仕入、つまり不動産の仕入が必要です。
不動産を仕入してから区画整理や建物を建築して販売するわけですから、売却できるまでの間のつなぎ資金、つまり運転資金が必要ではないかと。
不動産売買業であれば不動産の仕入資金が必要です。
ただし銀行は不動産の仕入資金を運転資金として支援するのではなく不動産プロジェクト資金として融資を検討することになります。
不動産を商品と考えれば運転資金とも言えなくはありませんが、不動産の場合にはプロジェクト資金としてその不動産プロジェクトに限定した融資を銀行は検討することになります。
不動産がきちんと売却できるのかどうかなどを慎重に判断して銀行はプロジェクト資金を融資することになります。
不動産業宛の運転資金が嫌がられる理由
不動産業は運転資金が不要だと理由の他にもう1つ銀行が不動産業者に対して運転資金を敬遠する理由があります。
それは運転資金をプロジェクトなどの他の目的に流用される懸念が強いからです。
さきほどの不動産プロジェクト資金と重複しますが、土地を仕入れて、それを住宅用として分譲販売する、あるいは中古マンションを仕入れて、それをリフォームし、やはり住宅用として販売する場合、最初の土地や中古マンションの仕入資金の需要が発生します。
これは銀行はプロジェクト資金として融資検討することをさきほど説明しました。
プロジェクトを特定したうえで融資対応するのが銀行の原則的な対応です。
融資したプロジェクトの物件が売却出来れば、その売却資金でもって対応するプロジェクト融資を回収するスキームです。
ところが運転資金はプロジェクトを特定した融資ではありません。
結果として、どのプロジェクトに使用されたのかわからなくなり、回収原資も不明瞭になります。
また売れ行きが思わしくないために他の銀行から借入をしているプロジェクト資金が売却代金にて返済できないために、その返済資金に運転資金融資は流用されてしまう懸念があります。
このようなこともあり銀行は不動産業者に対する運転資金融資には慎重なのです。