輸出取引を条件に融資実行


2013年10月25日

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B社は業歴30年ほどの電子部品の製造業です。
主に通信機器やオフィス向け機器に使用される部品を製造しています。
創業以来、国内の工場にて部品を製造し、受注先に納入していました。
しかし、受注先の生産拠点が中国に移行していくなかで、受注先からの要請や価格競争力に対応するため、5年ほど前にB社も中国に合弁会社を立ち上げ、現在では生産の6割を中国内の工場が占めています。

B社の足元の業況は決して良好とは言えません。
リーマンショックの影響により受注は減少していました。
また、中国進出に伴う多額の投資資金を賄うため借入金が増加し、その返済負担や金利負担も加わり、資金繰りが悪化しています。
毎年、一定額の資金調達を行わなければ、資金繰りを維持していくことが出来ない状態でした。
このようなB社から先日3,000万円の融資の申し込みを受けました。
申し込みに来られた社長に話を聞いてみると、今回は資金繰り維持のための相談ではなく、新規受注に伴う増加運転資金ということでした。
社長によれば、中国内での工場設備や技術力が評価され、国内有数の大手電機メーカーX社の中国現地法人から新規の受注が得られる見通しになったということです。
X社との取引はこれが初めてであり、今回の受注を契機として今後の新たな受注につなげることが出来れば、B社は大きな発展が望めることになります。

このこと自体はB社にとっては前向きな話です。
しかし当行での融資取り上げは非常に厳しい状況です。
当行は準主力銀行の立場ですが、既に当行の融資額は約2億円とB社の直近期売上のほぼ半分に達していました。
さらに、融資のうち信用保証協会の保証付融資5,000万円を除く約1億5,000万円は無担保の状態です。
また融資以外の取引、つまり売上代金の振込みなど経常取引はまったくない状態です。
要するにB社に対しては「ただ貸しているだけ」の取引振りということです。
業況が好調であればまだ良いのですが、売上は年々減少しており資金繰りも悪化しています。
新規の融資を検討している場合ではなく、むしろ早急に保全を確保
し、いかにして融資を回収していくかが第一の課題でした。

さらに社長からは追い討ちをかけるように主力銀行(地元信用金庫)には相談に行ったが、新たな担保提供がない限りは無理だと断られたという話もありました。
担保は主力銀行が独占しており、その他に不動産など有力な担保となるべきものはありません。
主力銀行でさえ断っている融資を「なぜ当行が融資に応じなければいけないのか」という大きな壁が立ちはだかっている状態です。
大幅な保全不足と主力銀行が融資に応じない事実。
とても稟議が通る環境ではありません。
私も社長からの申し込みを受け付けた時点では、融資は非常に難しく他の資金調達手段を検討するように具申していました。
しかし、今回の新規受注にかける社長の思いは強く、私が融資を実質的に断った後も何度も今回の受注内容やその後の事業計画などを説明しに来られました。
社長の熱意に押される形で、私としては案件を組み立てる方法があるのか考えましたが、なかなか良いアイデアが浮かびません。

このように融資案件に悩んだ場合、私は融資を行うにあたっての問題点をあえて明確にすることにしています。
問題点を明確にすることにより、
その解決策をも明確にすることが可能になります。
そして問題点を解決する具体策が見つかれば、それが稟議を通すポイントにつながります。
今回の融資案件の問題点は既に明確になっています。
それは業績が悪化している状況にもかかわらず、当行は多額の保全不足の状態にあることです。
この保全不足を少しでも改善することが出来れば、今回の融資が検討可能になると考えました。
しかし簡単には保全改善策が見つかりません。
保全の代表である不動産は主力銀行が独占しています。
決算書を眺めても不動産に代わる有力な保全物件は見つかりません。
決算書を何度も読み、社長との交渉を重ねていく中で私はB社の売上の6割が中国向けの輸出であることに着目しました。

社長に確認したところ、輸出為替は融資取引のないあるメガバンク一行経由であることがわかりました。
この輸出為替を当行経由にシフトすることが出来れば、大幅な預金増加につながることが期待出来ます。
もちろん正式担保として徴求しない限り預金は保全とは言えません。
しかし補助的な保全にはなります。
さらに預金残高の推移を時系列で見守ることにより、すばやくB社の業績の変化をキャッチすることが出来るわけです。
要するに3,000万円の融資と引き換えに、それ以上の輸出為替の獲得とそれに付随する預金獲得により、すでに行っている融資をもカバー出来る実質的な保全強化を図ることを考えました。
保全を確保するために新たな融資を行うというのはやや言い過ぎかもしれませんが、融資稟議に関わる人を納得させる合理的な理由になると私は考えたのです。

さっそく私は社長と輸出為替のシフトの件を相談しました。
輸出為替については長年、現在のメガバンクを利用していることから、当然、社長の抵抗はありましたが、当行の与信保全バランスを丁寧に説明し、金融機関の理屈にも理解を求め、最終的には社長の同意を得ることに成功し、輸出為替を全面的に当行にシフトいただくことの了解を得ることが出来ました。
このスキームにより、表面的には3,000万円の新たな保全不足が発生してしまいます。
しかし当社の売上の約6割を占める輸出売上の回収ルートを当行にて囲い込むことにより、融資金額を上回る実質的な保全確保が図れることになります。
当行の課題であった大幅な保全不足を、新たな融資を契機として改善することが出来る点が稟議の決め手となりました。






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