売上増加に伴う運転資金融資は銀行としても比較的取り組みやすい特徴があります。
売上の増加に伴い運転資金融資を銀行に相談する際のポイントを説明します。
売上増加に伴う運転資金とは
売上が増加すると収入が多くなるわけですから、資金に余裕ができ銀行融資など必要ないと思われるかもしれませんが、実は売上が増加すると余計に資金が必要になり、今まで銀行融資を受けていない企業でも新たに銀行融資が必要となるケースが少なくありません。
その理由は売上増加に伴い立替負担が増加するからです。
例えば商品を仕入れて在庫を持ち、その商品を販売するスキームで考えて見ます。
1月1日に商品を80円で仕入れ、その仕入代金は1月31日に支払うとします。
その後3月1日にその商品は100円で販売され、販売代金は3月31日に現金で回収されました。
この場合、商品は売れましたがその代金を現金で受け取ることが出来るのは3月31日です。
しかし商品の仕入代金は1月31日に支払わなければなりません。
つまり売上代金を回収する前に仕入代金の支払いが発生しています。
1月31日から3月31日まで2ヵ月間、資金の立替が発生してしまうのです。
売上が増加すれば入ってくる売上代金も多くなりますが、売上が増加するということは仕入も増加するわけですから、より多くの資金の立替が発生するわけです。
したがって売上増加時には逆に資金がより多く必要になるわけです。
売上増加に伴う増加運転資金の所要額の計算
売上増加に伴う増加運転資金の所要額は次の算式により計算することが出来ます。
所要増加運転資金=平均月商の増加額×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-仕入債務回転期間)
(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-仕入債務回転期間)は立替期間と呼ばれ、資金の立替が発生する期間を示しています。
つまり売上増加に伴い必要となる運転資金の水準は月商がどれだけ増加するのかによって決まってきます。
売上増加に伴う増加運転資金申し込み時の注意点
売上増加に伴う運転資金を銀行に融資を申し込む場合には、今後の売上見込みの根拠をきちんと説明することが大切です。
つまり上記算式が示すように、売上増加に伴う運転資金の所要額は月商の増加額によって異なってきます。
したがって審査をする銀行は月商の増加予想が妥当なものかどうかを慎重に見極めようとします。
月商の増加予想が妥当なものであることを客観的に説明出来ることがポイントとなります。