売掛債権の回収サイトが長期化すると、それだけ現金回収の時期が遅れるわけですから資金の立替期間が長くなり、運転資金の需要が発生します。
しかし売掛債権の回収長期化にともなう運転資金融資には銀行は慎重です。
なお売掛債権回収長期化に伴う必要運転資金は次の算式により計算することが出来ます。
売上債権回収長期化に伴う所要運転資金=平均月商×売上債権回転期間増加月数
売掛債権長期化と資金繰りへの影響
上の図は製造業を例にしてお金の流れ、循環を示したものです。
手元のお金は原材料に姿を変え、原材料をもとにして製品が製造されます。
その製品が販売されて再びお金の姿になって手元に戻ってきます。
この販売がされてお金の姿に戻るまでの期間が売掛債権回転期間です。
売掛債権回転期間が長くなればそれだけ手元にお金が入ってくる時期が後になります。
そのため売掛債権回転期間の長期化は運転資金需要が発生するのです。
銀行が融資に慎重となる理由
売掛債権の回収長期化が原因の運転資金の申し込みに対しては、融資審査の過程で銀行は次のようなことをチェックします。
2.本当は回収不能の売上債権が発生したのではないか
3.販売先が変わったのか、そうであれば業績の及ぼす影響はどうなのか
上記のうち、1および2はいずれも企業の経営にとってはネガティブなものです。
回収サイトが長期化する要因の多くは、販売先の資金繰りが悪化し回収が遅延しているものや、販売先が倒産し不良債権が発生した場合です。
いずれも融資先の業績にはマイナスの影響を与えます。
したがって銀行融資の審査においては、融資先の業績にマイナス影響があったとしても、その影響は十分に企業体力で吸収できるかどうかを見極めることになります。
銀行融資申込みのアドバイス
売掛債権の回収期間が長期化したことによって生ずる資金需要で銀行融資を申し込む場合には、その原因がネガティブなものであろうとなかろうと、回収期間が長期化した原因をきちんと説明することが大切です。
本当は回収不能の売掛債権が発生したため、資金繰りに穴が開いたにもかかわらず、そうでない理由で説明したとしても、試算表などの資料の提出を銀行から求められ、「本当の理由は回収不能が発生したからでは?」などと疑いを持たれることになります。
銀行融資の審査担当は基本的に納得できない融資はしません。
ネガティブなものであってもきちんと融資が必要な要因が納得できないと、融資を実行しないものです。
正直にありのままを説明したほうが銀行融資を受けられる可能性は高いと思います。