最近、ある飲食店を営む個人事業主の方から運転資金の融資相談を受けました。
実際の事例をもとに飲食店に対する銀行の運転資金融資に関する考え方と注意点について説明をします。
目次
銀行は飲食店は運転資金不要だと考えている
まず最初に銀行は飲食店には運転資金は不要だと考えています。
なぜなら飲食店は基本的に現金商売だからです。
運転資金は売上回収までのつなぎ資金
そもそも運転資金は売上代金回収までのつなぎ資金の意味があります。
製造業や卸売業など大半の事業では売上は掛売りで行われています。
掛売りですから売上が発生した時点では代金は回収されずに、後日販売先と約束した日になって振込などの方法で売上代金を回収しています。
売上代金は次の仕入資金や従業員への給料の支払いなど資金繰りに欠かせない資金です。
しかし掛売りでは売上代金回収は後日ですから、それまでの間の資金繰りに穴が開いてしまいます。
そのため運転資金が必要になってくるのです。
飲食店は現金商売
これに対して飲食店は基本的に現金商売です。
売上の発生と同時に現金で代金が回収されます。
次の仕入や従業員への給与の支払はその売上代金を利用することができます。
そのため飲食店は運転資金が不要な商売なのです。
したがって銀行は飲食店には運転資金融資は不要だと考えています。
飲食店向け運転資金融資は赤字の補填
しかし現実には飲食店から運転資金の融資相談はあります。
飲食店から運転資金融資の相談がある場合、その大半は売上が不振で赤字のために資金繰りが苦しくなりそのための補填の目的となっています。
銀行の融資姿勢は厳しい
銀行としては融資はきちんと返済してもらわなければなりません。
なぜなら万が一、融資が返済されない、つまり貸倒となった場合には回収できない融資は銀行の損失となります。
一たび貸倒が発生すれば、それまでの利息などは簡単に吹き飛んでしまう損失を銀行は被ることとなります。
売上不振で赤字ということになれば、融資が返済されるかどうか大きな懸念が持たれる状態です。
したがって銀行は総じて飲食店への運転資金の融資姿勢は厳しいのが現実です。
飲食店の運転資金の資金使途
そうはいってもすでに取引がある飲食店から運転資金の融資の相談を受けた場合、銀行としても無下にはできないところがあります。
このような場合には信用保証協会の保証付融資や担保などの保全を確保した融資にて検討することになります。
資金使途に注意
ところで飲食店の運転資金として銀行が認めているものはどういったものがあると思います。
銀行が飲食店向けの運転資金として資金使途で認めているものは、材料の仕入代、家賃、従業員への給与、水道光熱費など飲食店の事業運営に欠かせない日頃の資金繰りです。
店舗の内装工事代金は運転資金ではなく設備資金として銀行は融資を検討することになります。
運転資金の使途に違反した場合
もし上記の運転資金以外の使途に融資を利用した場合、例えば株式投資に使用した、他の借入金の返済に充てた、知人からの借入金の返済に充てたなどの場合には最悪は銀行から運転資金融資の一括返済を求められることになります。
融資は資金使途を含めて契約です。
資金使途違反は契約違反となります。
間違っても運転資金融資を他の目的に流用してはいけません。
もし運転資金かどうか迷う場合には融資を受けた銀行に相談してください。
銀行の運転資金尾資金使途管理は厳格です。