銀行の融資には一定期間は元金の返済が据置となり、その後の返済を開始するパターンがあります。
据置期間の設定は運転資金や設備資金にみられる事例です。
この据置間の延長はできるのかどうかが今回のテーマです。
目次
融資の据置期間延長に関する質問
ある銀行から運転資金として融資期間5年、据置期間1年で融資を受けています。
あと2ヶ月ほどで据置期間が終了し返済が開始となります。
しかし業績が思うように回復しておらず資金繰りが苦しい状態が続いています。
据置期間が終了し返済が開始となると資金繰りが一層苦しくなります。
そのため据置期間の延長を希望しています。
据置期間の延長をしてもらうことは可能でしょうか?
据置期間の延長が可能な場合、何かペナルティはありますか?
例えば、今後融資されないといったペナルティがあるのでしょうか。
この銀行からは何度も融資を受けていますが、据置期間の延長の相談は今回が初めてです。
今まで延滞などもしたことは一切ありません。
据置期間の延長は原則として認められない
原則として据置期間の延長は認められません。
融資実行前に返済方法などの条件を決め、それらを前提にして融資が実行されています。
融資は契約ですから契約は遵守する必要があります。
その契約通りに履行できない、つまり据置期間を延長せざるを得ないというのは厳格に言えば契約違反となります。
ただし当初の契約通りに据置期間が終了すれば返済をしてもらわないといけないとしても、返済が実質的に無理であれば銀行としても次善策を考えなければなりません。
原則として銀行は据置期間の延長を受け入れしない
銀行の2つの対応方法
据置期間の延長の相談を受けた場合、銀行の現実的な対応方法は大きく次の2つとなります。
追加融資にて資金繰りを支援する
据置期間の延長を相談するということは資金繰りが苦しいということのはずです。
銀行は据置期間の延長の背景にある資金繰り面を解決するという考え方で追加融資にて資金繰りを支援する方法を取ることが1つ目です。
このケースでは据置期間の延長はせずに返済は予定通りにしてもらい、代わりに追加融資にて根本原因である資金繰り面を支援するという方法です。
この場合には融資先の今後の業績の回復と資金繰りの改善が期待できる場合に銀行がよく取る方法です。
据置期間の延長はせずに別途追加融資にて資金繰りを支援する
リスケとして据置期間の延長に対応する
2つ目の方法は据置期間の延長を受け入れるという方法です。
しかし据置期間の延長を受け入れるということは当初の融資条件を変更するということです。
据置期間を短縮して返済開始時期を早めるのではなく、据置期間を延長して返済開始時期を遅らせるということはマイナスの融資条件の変更に該当します。
これはいわゆるリスケです。
銀行としてもなるべくリスケは避けたいところですが、さきほどの1つ目の例のように業績や資金繰りの改善見通しが持てない場合には追加融資には踏み込めません。
しかし据置期間を延長せずに当初通りに返済を開始することを求めても、資金繰りをますます悪化させるだけですし、遅かれ早かれ延滞の発生が想像されるところです。
そのため据置期間の延長に応じて資金繰りの支援、事業の継続を支援するということでリスケとして対応します。
リスケとして据置期間の延長に応じて資金繰り支援・事業継続支援を行う
据置期間の延長に関するまとめ
以上、据置期間の延長に関することをまとめますと次のようになります。
まとめ
・しかし資金繰り支援・事業継続支援のために銀行がまったく検討しないということでもない
・据置期間の延長はせずに追加融資にて資金繰りを支援することもある
・上記が難しい場合にはリスケとして据置期間の延長に応じて資金繰り支援と事業継続支援を行う