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融資審査マンの見方

建設業向けの運転資金融資の特徴

建設業においても卸売業や製造業などと同じように運転資金が必要となる業種です。
そのため銀行も建設業には運転資金の融資を実行しています。
ただ建設業向けの運転資金には少し特殊なところがあります。
建設業向けの運転資金の特徴や融資の借り方について説明をします。

建設業に運転資金が必要な理由

建設業に運転資金が必要な理由ですが、それは建設工事代金の回収方法に理由があります。

建設工事代金は後払いが原則

建設工事代金を建設工事に着する前に全額を受領することができれば、建設業において運転資金は必要ではなくなります。
しかし大半の建設工事においてその建設工事代金は後払いが原則のはずです。
建設工事が完了してから建設工事代金全額を支払ってもらえる、あるいは建設工事の進捗割合に応じて3回ぐらいに分けて支払ってもらえるというのは大半ではないでしょうか。
建設工事を行うには材料を準備したり、社員や職人さんへの給与の支払いが必要となります。
また建設工事の全部または一部を外注に出す場合には外注費の支払も発生します。
建設工事代金を工事前に受領することができれば、材料費など上記の支払はこの建設工事代金を充てることができますが、建設工事代金が後払いのためにこれらの支払資金を立て替える必要が出てきます。
このため建設業においても運転資金が必要となります。
上記のことを図にまとめますと次のようになります。
建設業の運転資金

建設業向けの運転資金融資は工事毎が原則

建設業向けの運転資金(=工事立替資金)は建設工事毎の必要資金を融資するのが銀行の基本対応です。
建設工事毎に個別に運転資金を融資する理由は大きく2つあります。

建設業向けの運転資金が工事毎になる理由

まず1つは返済原資を明確にするということです。
建設業で必要となる運転資金というのは、工事受注に伴い工事代金回収と支出とのズレ発生に伴う資金立替に対応するものです。
建設工事代金を受領することによる資金立替需要は終息します。
建設業向けに運転資金を融資をする銀行の立場からすると、建設業向けの運転資金の返済原資は建設工事代金の回収金ということになります。
建設工事代金の回収金を他の目的に流用されると銀行は建設業向けの運転資金の融資が返済されないことになってしまいます。
そのために建設業向けの運転資金においては建設工事案件毎とし、建設工事案件のしっかりと管理をして運転資金の融資が確実に返済されるようにする必要が銀行にはあるのです。
このため銀行の建設業向けの運転資金の融資は建設工事毎の対応としているのです。

建設業向けの運転資金融資を工事毎とする理由:建設工事案件をしっかりと管理をして融資が確実に返済されるようにするため


もう1つ、建設業向けの運転資金融資を工事毎の対応としている理由は運転資金の融資が他の目的に流用されないようにするためです。
工事を受注していないのに建設業向けに運転資金として融資を実行しても、運転資金として使用されることはなく、使途外に流用されてしまう可能性が出てきます。
使途を確実に工事立替という運転資金に使用してもらうためにも、建設業向けの運転資金は個別の工事毎の対応が適切だからです。

建設業向けの運転資金を工事毎とする理由:運転資金が他の目的に流用されるのを防ぐため

建設業向けの運転資金の申し込み方法

今まで説明をしてきた建設業向けの運転資金融資の銀行の考え方を踏まえて、融資の申し込み方法をご案内します。

工事請負契約書を提出し工事原価を明確にする

建設業向けの運転資金融資は最大で工事原価の範囲内です。
受注した工事請負契約書を提出してそもそも建設工事案件が存在することを銀行に説明するとともに、受注した建設工事を施工するのにどれくらいの費用、つまり工事原価を要するのかをしっかりと銀行に説明をする必要があります。
なお工事請負契約書がまだ手元にはない場合もあるでしょう。
その場合にはおおむねの建設工事案件の概要をとりあえず説明して融資相談を進めることができます。
ただしその際にも工事原価がいくらになるかの説明は欠かせません。

建設工事代金の入金指定

さきほども説明をしましたが建設業向けの運転資金融資の返済原資は建設工事代金そのものです。
したがって返済原資となる建設工事代金は融資を受ける銀行の預金口座を指定する必要があります。
融資を受ける銀行以外の預金口座を指定しては絶対に運転資金の融資を受けることは出来ません。

建設工事代金の回収方法の説明

工事請負契約書があれば、契約書上に工期や代金の支払方法が明記されていますから、契約書を見れば建設工事代金の回収方法はわかります。
しかし工事請負契約書の締結がまだ先の段階で銀行に運転資金の融資を相談する場合には、予定されている工期と建設工事代金の回収方法をきちんと説明をしてください。
融資を検討する銀行としては工期や建設工事代金の回収方法を参考にして融資条件を考えることとなるからです。

建設業の運転資金のまとめ

以上、建設業の運転資金をまとめますと次のようになります。

まとめ

・建設業向けの運転資金の融資は建設工事毎となるのが原則
・建設業の運転資金は受注した工事原価の範囲内
・建設工事代金は融資を受ける銀行の預金口座を指定しなければならない

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