公的機関である日本政策金融公庫にだけ融資取引がある場合、追加融資を受けたいときに日本政策金融公庫に申し込むか、それとも新しい銀行に新規に申し込むか迷っている事業者が意外に少なくありません。
日本政策金融公庫に追加融資を申し込むか、それとも新しい銀行に初めて融資の申し込むを行うか、考え方を説明します。
目次
日本政策金融公庫の追加融資に関する質問
設立して3年となる中小企業です。
1年目の時に日本政策金融公庫から運転資金を融資を受けて、現在遅れることなく返済を続けています。
1年目も2年目もぎりぎりですが黒字決算でした。
3年目に入り、新しい得意先を開拓し売上は増えては来ているのですが、売上代金の回収スパンが長くなり資金繰りが厳しくなってきています。
そこで新たな融資の申し込みを考えているのですが、日本政策金融公庫に追加融資の申し込みを行った方が良いのか、それとも今後のことを考えて新しい銀行に融資の申し込みをした方が良いのか迷っています。
日本政策金融公庫と民間銀行の違い
日本政策金融公庫と民間銀行はそれぞれ事業者に融資をしています。
融資の種類や条件はそれぞれ異なるところはありますが、最大の両者の違いは日本政策金融公庫は公的機関であるのに対して民間銀行はそれこそ民間の会社です。
公的か民間の違いだけなのですが、実はこの違いが大きいのです。
公的か民間の違いが実は大きい
日本政策金融公庫は公的制度を実現
日本政策金融公庫は公的機関であり、事業者に対する国の支援制度に基づいて多くの融資制度が整備されています。
融資により利益を上げるのではなく、国の支援制度を金融面で支援して事業者の事業活動を支援する役割を担っています。
民間銀行の融資はビジネス
日本政策金融公庫に対して民間銀行が行う融資は原則としてビジネスとして行われています。
融資により利益を獲得することももちろん大きな目的としています。
そのため銀行の方から融資の提案を行ってくることもしばしばです。
サービスの一環として融資のみならず事業に資する情報や取引先紹介など金融面以外のサービスが民間銀行と取引をすることにより期待ができます。
民間銀行の融資はあくまでもビジネス
新しい銀行への融資申し込みがおすすめ
さて、今回の追加融資を日本政策金融公庫に申し込みを行うか、それとも新しい銀行に融資の申し込みを行うかですが、今後のことを考えたら新しい銀行に融資の申し込みを行うことをおすすめします。
資金調達パイプを広げておく
新しい銀行に融資の申し込みを行うことをおすすめする最大の理由は資金調達パイプを広げておくという点にあります。
事業の発展・拡大に伴って、今後ますます資金需要が増えていくことを予想されます。
資金繰りは事業の発展・拡大そして継続に欠かせない最重要の事項であり、資金繰りを補う融資のパイプは広げておくことが望ましいです。
会社の規模にもよりますが、中小企業の場合、おおむね3つから4つの銀行と取引をしています。
日本政策金融公庫は温存しておく
おそらく今回のケースでは日本政策金融公庫で追加融資が受けられる可能性があると考えられます。
しかしここはさきほどの資金調達パイプを広げておくという観点に加えて、日本政策金融公庫の融資可能性を温存しておくことにも意味があります。
日本政策金融公庫は公的機関です。
もちろん日本政策金融公庫から融資を受けるには審査に通る必要があります。
しかしその審査難易度は一般的には民間銀行よりハードルが低いものとなっています。
国の制度・方針に基づいて無審査では決してありませんが、さらに審査ハードルが低くなるような局面も実際にはあります。
民間銀行から融資が難しい場合に備えて日本政策金融公庫の融資可能性を温存しておくという考え方は、ある意味合理性があります。
日本政策金融公庫の追加融資に関するまとめ
以上、日本政策金融公庫の追加融資についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・日本政策金融公庫の融資可能性を温存しておくことは賢い選択