預金口座や不動産に差し押さえなどがなされた場合に銀行から借入している融資はどうなるのかというテーマです。
結論から言いますと差し押さえは重大な事態をもたらします。
目次
税金や社会保険料などを滞納していると
銀行の実務においても現実によくあることですが、例えば税金や社会保険料を長期間滞納していると預金口座などに役所から差し押さえが入ってきます。
この差し押さえが入ってくると銀行から受けている融資に重大な事態が到来することがあります。
差し押さえにより銀行から借入している融資に重大な事態が発生する
期限の利益の喪失
期限の利益とは
例えば会社が銀行から返済日が1年後の融資を借入しているとします。
期限の利益とは銀行から融資を借入している会社側にある権利で、返済日までは融資を借りていられるという権利です。
原則として銀行は返済日以前に会社に対して融資の返済を求めることはできません。
期限の利益は融資を受けている側、つまり債務者の権利なのです。
期限の利益とは返済日までは借りていられるという借り手側の権利
期限の利益の喪失とは
しかし一定の事態が発生すると債務者は返済日以前に全額の融資を返済しなければならなくなります。
これが期限の利益の喪失です。
ではどのような場合に期限の利益が喪失してしまうのでしょうか?
銀行取引約定書第5条
どのような場合に期限の利益が喪失されるかは銀行取引約定書第5条に明記されています。
ちなみに銀行取引約定書とは銀行と融資取引を行うにあたっての基本約定書です。
これは銀行取引約定書の中で期限の利益に関わることが記載されている第5条の抜粋です。
差し押さえと期限の利益の喪失
では差し押さえが入ると銀行の融資はどうなるのかという点ですが、差し押さえが入ると一定の場合には期限の利益を喪失して融資全額をただちに返済しなければならなくなります。
どういう場合に差し押さえが入ると期限の利益の喪失となり融資全額をただちに返済しなければならなくなるかを説明します。
差し押さえと期限の利益の喪失との関係
2.保証人の預金口座に差し押さえが入ると自動的に期限の利益を喪失する
3.担保に差し押さえが入ると銀行からの請求があれば期限の利益を喪失する
債務者本人の預金口座に差し押さえ
債務者、つまり融資を借りている本人の預金口座に差し押さえが入るとその瞬間に期限の利益が喪失され、融資全額をただちに返済する義務が発生します。
銀行から求められなくても差し押さえが入った瞬間に自動的に期限の利益が喪失されてしまいます。
保証人の預金口座に差し押さえ
会社が銀行から融資を受けるにあたって、会社の社長が連帯保証人になることはよくあることです。
そして連帯保証人である社長の個人預金の口座に差し押さえが入るとやはりその瞬間に自動的に期限の利益が喪失されます。
したがって融資を受けている会社はただちに融資全額を返済する義務が発生します。
担保に差し押さえ
例えば不動産を担保に差し入れているとします。
その不動産に差し押さえが入るとさきほどのように自動的ではありませんが、銀行からの請求があれば期限の利益が喪失されてしまい直ちに融資全額を返済する義務が発生します。
差し押さえが入ると銀行の融資はどうなるのか?のまとめ
以上、差し押さえと銀行融資との関係についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・保証人の預金口座に差し押さえが入ると債務者は自動的に直ちに融資全額を返済しなければならない
・担保に差し押さえが入ると自動的ではないが銀行からの請求があれば融資全額を返済しなければならない