銀行融資は保証協会付融資とプロパー融資の2つの形態に分類することができます。
ところで保証協会付融資とプロパー融資ではどちらが金利が低いのでしょうか?
銀行員が説明します。
目次
保証協会保証付融資の方が金利が低い
結論としてはプロパー融資よりも保証協会保証付融資の方が金利が低いです。
保証協会保証付融資の方が金利が低い
金利は貸倒リスクの裏返し
銀行にとって金利は大きな収益源の1つですが、金利が高いか低いかは融資の貸倒リスクの高低の裏返しの結果です。
融資の貸倒リスクが低い場合には金利が低いとしても銀行は積極的に融資をしたいと考えます。
一方で融資の貸倒リスクが高い場合にはそれに見合う高い金利を適用しないと銀行は割に合いません。
金利が決まる仕組みはこれだけではありませんが、原則としては融資の貸倒リスクが高いか低いかによって融資金利は決まっています。
保証協会保証付融資の方が金利が低い理由
なぜ保証協会保証付融資の方が金利が低いのかですが、それはさきほどの貸倒リスクの点から説明しますと銀行にとってプロパー融資よりも保証協会保証付融資の方が貸倒リスクが低いからです。
保証協会保証付融資は公的機関である信用保証協会が融資の返済の保証をしてくれる特徴があります。
融資先が返済できない事態になってしまった場合、信用保証協会が融資先に代わって銀行に返済をしてくれます。
銀行としては信用保証協会という公的機関が融資の保証人になってくれるのですがから非常に安心できます。
これに対してプロパー融資はもし融資先が返済できない場合には担保を取っておらず社長などの連帯保証人から返済がしてもらえない場合には、プロパー融資は貸倒となり損失となります。
そのため保証協会保証付融資の方がプロパー融資に比べてはるかに貸倒リスクが低いのです。
したがって貸倒リスクの裏返しでもある金利は保証協会保証付融資の方が低いのです。
保証協会保証付融資は貸倒リスクが低いために金利が低い
役所からの利子補給制度もある
さらに保証協会保証付融資には地方公共団体が行っている制度融資というものもあります。
制度融資とは地方公共団体が地元の中小企業や個人事業主を金融面で応援するために設けられているものです。
制度融資の多くは地方公共団体が金利の一部負担をしてくれます。
制度融資は保証協会保証付融資を通じて行われますから、制度融資を利用することにより保証協会保証付融資の金利がさらに低いものになる特徴もあります。
制度融資を利用することによりさらに保証協会保証付融資の金利が低くなる
保証協会保証付融資の注意点
このように保証協会保証付融資とプロパー融資の金利を比較すると一般的には保証協会保証付融資の方が金利が低いです。
しかし保証協会保証付融資には1つの注意点があります。
それは保証料の存在です。
保証協会の保証制度を利用するには保証協会に利用料として保証料を支払う必要があります。
保証協会に支払う保証料の水準は利用者の業績の良し悪しや利用する保証制度によって細かく分類がされているため一概に示すことができませんが、目線としては0.30%~1.90%の範囲内です。
保証料の目線は0.30%~1.90%
保証料を加味して考える必要がある
そのため保証協会保証付融資を利用するには銀行に支払う金利に加えて保証協会に支払う保証料を加味して考える必要があります。
保証協会保証付融資の金利はプロパー融資よりも低いものの、保証料を加味するとプロパー融資の金利よりも高くなることもあります。
実質金利の比較
・プロパー融資の実質金利⇒金利
保証協会保証付融資とプロパー融資はどちらが金利が低い?のまとめ
以上、保証協会保証付融資とプロパー融資はどちらが金利が低いのかについてまとめますと次のようになります。
まとめ
・保証協会保証付融資の方がプロパー融資に比べてはるかに貸倒リスクが低い
・そのため金利は保証協会保証付融資の方がプロパー融資よりも低いのが一般的
・ただし保証協会保証付融資を利用するには保証協会に保証料の支払いが必要
・保証料を加味すると実質金利は保証協会保証付融資の方が高くなることもある