銀行では融資の保全策としていろいろな担保を取ります。
担保で代表的なものは不動産担保です。
ところで銀行が担保にまず取らないものもあります。
その代表的なものが生命保険です。
銀行にとっての担保とは
銀行では融資を行うかどうかにあたっては必ず審査を行っています。
融資先、つまり債務者がきちんと融資を返済する能力があるかどうかをしっかりと審査をしています。
この審査が通って初めて銀行では融資が実行されます。
審査が通ったということは銀行は債務者がきちんと融資を返済できるだろうと考えたということです。
担保は万が一の保全策
ところが融資後の債務者の状況の変化により、債務者が返済不能に陥ってしまうことは現実にはあり得ることです。
ここでは個人で商売をしている個人事業主に融資を行う例にて説明をします。
融資後に景気の悪化により個人の商売が不振になってしまう可能性があります。
さらにはその個人が病気になってしまい商売が出来なくなってしまう可能性もあります。
このような当初では予想できなかった事態に備えて銀行は融資の回収策を取っておくことが必要です。
その回収先の大きな1つが担保です。
不動産を担保に取っていればその不動産を競売に出すなど売却することにより、その売却資金にて融資を回収することが出来るのです。
担保の例
銀行が担保に取るものの例としては以下のものがあります。
・不動産
・預金
・有価証券
・車
・船舶
・美術品
など
生命保険は担保になじまない
生命保険というのは当たり前のことですが個人が亡くなった場合に、その遺族など保険金の受取人に支払われる資金です。
銀行はその保険金を質権という方法で担保に取ることは物理的には可能です。
個人事業主に銀行が融資をしている際には、その個人事業主が死亡した時に支払われる生命保険を担保に取っていれば、融資を回収することが出来るでしょう。
その個人事業主が不動産や預金などの資産を持っていない場合には生命保険担保は融資の回収策としてとても有効な手段です。
しかし銀行では現実には生命保険を担保に取ることには非常に消極的です。
銀行は社会の評価を気にしている
生命保険金は残された遺族の今後の生活を支える重要な資金です。
その遺族の生活を支える資金を銀行が横取りして融資の回収に充てることには、社会の非常に厳しい目があることでしょう。
銀行が生命保険金を取ってしまえば、残された遺族らは生活に困窮することさえ想像出来ます。
銀行というところは非常に社会の評価を気にする特徴があります。
この社会的な非難を浴びる可能性がある生命保険担保は取りたくても現実には取れないというのが銀行の本音です。
このため実際の融資実務において銀行が生命保険を担保に取るケースが稀なことです。