私たち個人が住宅ローンやカードローン、クレジットカードを新規に申し込む際には必ず個人信用情報が調査されて審査に影響を与えます。
では会社や個人事業主が銀行から事業資金の融資を受ける際に個人信用情報が調査されて審査に影響を与えるのでしょうか?
事業資金の融資と個人信用情報の関係について融資担当の銀行員が説明をします。
目次
個人信用情報とは
最初の個人信用情報について簡単に整理をします。
個人信用情報とは私たち個人のローンの利用状況やその返済状況についての情報が記録されているものです。
ローンやクレジットカードを利用しているのかどうか、利用している場合にきちんと返済や支払はしているのか、過去に返済を延滞していないかといった情報が個人信用情報には蓄積されています。
個人信用情報は審査に利用される
この個人信用情報を見れば私たち個人の金銭面の情報は一目瞭然にわかります。
そのため私たちは個人ローンやクレジットカードなどを申し込む際にはその審査の過程で必ず個人信用情報が調査されます。
そして個人信用情報に延滞情報などの悪い情報があると審査には通りません。
個人信用情報は純粋に個人の分野
仮に私が個人事業主だとします。
住宅ローンやクレジットカードを利用しながら、銀行から事業で必要な運転資金の融資を利用しているとします。
この状況において私の個人信用情報に登録がされる情報は住宅ローンやクレジットカードに関するものだけです。
事業の運転資金の利用状況や返済状況は個人信用情報に登録されることはありません。
個人信用情報は純粋に個人の分野に関する情報だけが登録されるのです。
事業主としての個人の情報は登録がされません。
事業資金の融資の審査に個人信用情報は影響しないのか?
それでは運転資金などの事業資金の融資の審査に個人信用情報はまったく影響はしないのでしょうか?
ここでは1つの例として中小企業が銀行から事業資金の融資を借入する場合、経営者である社長の個人信用情報が審査に影響するかどうかで説明をします。
管理人が勤務している銀行の場合でご案内します。
中小企業と経営者は実質一体
まず中小企業が銀行から事業資金の融資を借入する場合に経営者の個人信用情報が影響するのでしょうか?
ここで考えないといけないところは中小企業のある特徴です。
中小企業は大企業と比べて、経営者とのつながりが深いと考えられます。
中小企業は社長がオーナーであることが多く、社長自身も「この会社は俺の会社だ」と考えていることが多いのではないでしょうか。
つまり中小企業=経営者と言えます。
会社の資金繰りがきつい時に経営者が会社に個人資金を貸し付けるのはよくあることだと思います。
またこれとは逆に経営者である個人の資金繰りがきつい時に、会社の資金を経営者に貸し付けることもあると思います。
銀行は会社に運転資金を融資するのに、実際は個人の借金の肩代わりであったら、銀行としてはその融資が返済される可能性が低いことになります。
ですから銀行が中小企業に融資を検討する場合、経営者とのつながりを意識せざるを得ないのです。
経営者の個人信用情報は影響する
では中小企業に銀行が融資を検討する場合、経営者の個人信用情報はどのように影響するのでしょうか?
プロパー融資の場合
管理人が勤務している銀行では、プロパー融資を検討する場合に、中小企業でも比較的規模が小さい会社の場合には経営者の個人信用情報を取得し、審査に役立てています。
そして経営者が消費者金融から1社でも借入がある場合は、会社へのプロパー融資はお断りしています。
また一定期間に頻繁にカードローンなどの個人借入の申込みを行っている場合も、会社へのプロパー融資をお断りしています。
信用保証協会保証付融資の場合
一方で信用保証協会の保証付融資の場合は、経営者の個人信用情報を調査することはしていません。
ですから経営者がたとえ消費者金融から借入があったとしても、信用保証協会の保証付融資であれば、その中小企業は銀行融資を受けることが可能となります。
ただ注意をしなければならないのは銀行が調査しないだけであって、信用保証協会が調査を行う場合があります。
管理者の実務経験からして、信用保証協会を初めて利用する場合は信用保証協会が代表者の個人信用情報を調査しています。
2回目以降の場合は原則として調査を行なっていません。
事業資金の融資と個人信用情報の関係のまとめ
以上、事業資金の融資と個人信用情報との関係についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・個人事業主はもちろん、中小企業も会社=社長と考えられるから
・個人信用情報に傷があると事業資金の融資を受けることも困難