ラーメン店を営んでいる場合の銀行への融資相談のポイントを説明します。
ラーメン店の運転資金
ラーメン店の場合、売上は即、現金にて回収されます。
したがって麺や材料などの仕入れの支払いと、売上の回収との間に立替は発生しません。
この図は運転資金の発生要因を示したものです。
世の中の事業において売上の一般的な形態は掛売りです。
つまり売上が発生してもすぐにその売上代金が回収できるわけではなく、一定期間後に回収できる形態です。
この図の場合は①の売上の発生から④の売上代金の回収までは一定のタイムラグがあります。
このタイムラグの間に仕入代金の支払や給与の支払などが発生するため資金不足に陥ります。
つまり④の売上代金回収までの資金面のつなぎが運転資金なのです。
ラーメン店は現金商売
一方でラーメン店の場合には基本的に現金商売です。
現金商売ということは売上の発生と同時にその代金が回収できることになります。
私たちがラーメン店でラーメンを食べる場合にはその場でその代金を支払います。
ツケでラーメンを食べることはまずないでしょう。
これが現金商売です。
現金商売ということは①の売上の発生と④の売上代金の回収にライムラグがありません。
ということは運転資金の必要性はないということなのです。
このため、ラーメン店は基本的に運転資金が不要な業種です。
ラーメン店で運転資金が必要なケース
しかしながら、現実にはラーメン店から運転資金の融資申込みがあります。
ラーメン店が運転資金を必要とするケースは
1.実質的には赤字の補填
2.新店オープンに伴う、人件費や広告費などの準備資金
の2つに大別されます。
1の赤字補填のケースは、銀行としても慎重にならざるを得ません。
赤字資金だからといって、絶対に銀行は融資に応じないということはありませんが、今後の見通しなどを細かく検討し銀行に説明することが大切です。
ただその見通しは楽観的なものではだめです。
競争が激しいラーメン店において、簡単に収支が改善するものとは銀行も考えていません。
慎重な検討をした上で、銀行に説明をすることが大切です。
その上で、担保はあるのか、あるいは経営者自身の個人資金の裏づけはあるのかなどを総合的に検討し、銀行は融資の可否を判断しています。
一方で2の新店オープンに伴う運転資金は、必要理由が1の場合に比べて前向きであると考えられますので、銀行は新店の見通しを検討したうえで、融資の可否を判断しています。
実務においては、出店に伴う設備資金と一緒に運転資金も融資するのが普通です。
したがって設備資金はA銀行、出店に伴う運転資金はB銀行と銀行を分けるのではなく、設備資金の融資を申込むA銀行に運転資金分も合わせて申込むのが一般的です。
ラーメン店の設備資金
ラーメン店向けの銀行融資の大半を占めるのが、この設備資金です。
新規出店に伴う設備資金や、既存店の改装資金が主なものになります。
設備資金の銀行融資の返済は、この新店の利益や改装する既存店の利益から返済されるのが原則ですから、新店や既存店の収支状況など見通しの説明が不可欠です。
またその他の既存点を既に保有している場合には、店ごとの収支状況を説明するのが好ましいと言えます。
設備資金の返済原資は原則として、融資の対象となる店の利益ですが、計画通りに収支が確保されない場合、その他の既存点からの利益で返済を受けることになります。
したがってその他の既存点の収支状況はどうなのか、これは審査の対象となるのです。