銀行融資には、運転資金や設備資金のほかに「決算資金」と呼ばれる融資があります。
決算資金とは、会社の決算に伴って発生する法人税などの納税や、株主への配当金の支払いに必要な資金のことです。
決算時にはまとまった資金の支払いが発生するため、会社の資金繰りに大きな影響を与えることがあります。
そのため、銀行では決算資金を融資することで、中小企業の資金繰りを支援しています。
ただし、決算資金という名目であれば、希望する金額を自由に借りられるわけではありません。
銀行は、納税額や配当金額などを確認し、融資希望額が実際の資金需要に見合っているかを審査します。
この記事では、長年にわたり銀行の法人融資や融資審査に携わってきた経験を踏まえ、決算資金の意味、融資の対象、返済期間、審査のポイントをわかりやすく説明します。
さらに、決算資金として3,000万円の融資申込みがあったものの、実際の決算資金は約1,200万円で、残り1,800万円には別の資金使途が含まれていた銀行融資の実例も紹介します。
決算資金とは?銀行融資における意味
決算資金とは、会社の決算に伴って発生する支払いに充てる資金です。
銀行融資においては、主に次のような資金を指します。
- 法人税などの納税資金
- 消費税などの納税資金
- 株主への配当金の支払資金
銀行が「決算資金」という場合の決算とは、銀行自身の決算ではなく、融資を受ける会社の決算を意味します。
例えば、3月決算の会社では、決算後に法人税などの納税が必要になります。
このとき、税金を支払うだけの手元資金が不足している場合、銀行から決算資金の融資を受けることが考えられます。
決算資金は、決算に伴う一時的な資金需要に対応するための融資です。
決算資金の融資対象となるもの
銀行が決算資金として融資を検討する代表的な支払いを説明します。
法人税などの納税資金
会社が利益を計上すると、その所得に応じて法人税などの税金が発生します。
法人税や地方法人税、法人住民税、法人事業税などの納税が、決算資金の融資対象として検討されます。
例えば、法人税などの納税予定額が500万円である場合、その500万円を納税資金として銀行に融資を申し込むことが考えられます。
銀行は、納付書や申告書などを確認して必要金額を判断します。
消費税の納税資金
消費税の納付も、会社の資金繰りに大きな影響を与える支払いの1つです。
消費税は、利益が出ていない会社でも納税が必要になる場合があります。
そのため、赤字決算だからといって消費税の納税資金が不要になるとは限りません。
銀行では、消費税の納付予定額や会社の資金繰りを確認し、融資の可否を検討します。
株主への配当金の支払資金
会社が株主に配当金を支払う場合、その資金を決算資金として銀行が検討することもあります。
ただし、配当金は税金と異なり、すべての会社に必ず発生する支払いではありません。
また、銀行は配当金の支払いが会社の財務内容や資金繰りに与える影響も確認します。
業績が悪化している会社や借入金の返済負担が重い会社では、配当資金の融資に慎重になる場合があります。
したがって、配当金の支払いが決算資金として検討されることはあっても、銀行が必ず融資するわけではありません。
決算資金が必要になる理由
決算資金が必要になる主な理由は、納税などによって一時的にまとまった資金が流出するためです。
例えば、通常の月であれば、売上代金の入金によって仕入代金や人件費などを支払えている会社でも、決算時に多額の納税が発生すると、資金繰りが厳しくなることがあります。
利益が出ていても手元資金が十分とは限らない
会社が利益を計上していても、利益と同じ金額の現金が手元にあるとは限りません。
売上が増えて売掛金が増加したり、在庫の仕入れに資金を使ったりすると、利益が出ていても預金残高が少ないことがあります。
そのような状態で法人税などの納税が発生すると、一時的に資金不足となる可能性があります。
決算資金の融資は資金繰りの安定に役立つ
決算資金を銀行から借り入れることで、納税時に預金残高が大きく減少することを防ぎ、通常の事業活動に必要な資金を確保しやすくなります。
ただし、銀行融資は返済が必要です。
そのため、決算資金を借りる場合にも、借入後の返済を含めた資金繰りを確認することが重要です。
決算資金はいつ必要になるのか
決算資金の借入時期は、会社の決算月や納税期限によって異なります。
法人税などの納付期限
法人税の確定申告と納税は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
例えば、3月31日が決算日の会社であれば、原則として5月末までに納税することになります。
ただし、申告期限の延長などの特例があるため、実際の期限は会社ごとに確認する必要があります。
消費税の納付期限
法人の消費税についても、原則として課税期間の終了後2か月以内に申告と納税を行います。
ただし、申告期限の延長特例や課税期間の特例などがある場合には、取扱いが異なります。
中間納税でも資金が必要になることがある
会社によっては、決算後の確定納税だけでなく、事業年度の途中に中間申告・中間納付が必要になることがあります。
例えば、法人税では所定の要件に該当する場合に中間申告が必要になります。
また、消費税の中間申告・納付の回数は、直前の課税期間の確定消費税額などによって異なります。
そのため、すべての会社が半年ごとに納税するわけではありません。
決算資金の借入れを検討する際には、確定納税だけでなく、中間納税も含めて年間の納税予定を確認することが重要です。
決算資金はいくら借りられるのか
決算資金の融資額は、原則として納税や配当金の支払いなど、実際に必要な資金額をもとに検討されます。
例えば、次のような会社を考えてみましょう。
決算資金の必要金額の例
- 法人税などの納税予定額:400万円
- 消費税の納税予定額:300万円
- 配当金の支払予定額:100万円
合計必要資金:800万円
この会社の場合、決算に伴う支払予定額は800万円です。
銀行は、この800万円という金額を基準に、会社の預金残高や資金繰り、返済能力などを確認して融資額を検討します。
ただし、必要資金が800万円あるからといって、必ず800万円の融資を受けられるわけではありません。
銀行は会社の財務内容や既存借入金の状況なども審査するからです。
銀行が確認する主な資料
決算資金の融資を申し込む場合には、次のような資料が必要になることがあります。
- 決算書
- 法人税などの申告書
- 納付書や納税予定額が分かる資料
- 消費税の申告書や納付予定額が分かる資料
- 配当金の支払予定額が分かる資料
- 最近の試算表
- 今後の資金繰り表
- 借入金一覧表
銀行がこれらの資料を求めるのは、決算資金の必要金額と返済可能性を確認するためです。
決算資金の返済期間は6か月が基本なのか
銀行の決算資金融資では、返済期間6か月程度の短期融資が利用されることがあります。
これは、決算資金が納税などの一時的な資金需要に対応する融資であるためです。
例えば、決算資金を借り入れ、半年後の返済を予定する融資形態です。
しかし、決算資金の返済期間が必ず6か月と決まっているわけではありません。
銀行の融資方針や会社の資金繰り、返済原資などによって、融資期間や返済方法は異なります。
短期融資で対応する場合
決算資金を短期融資で対応する場合には、一定期間後に一括返済する方法などが考えられます。
この場合、銀行は融資の期日に返済できる見通しがあるかを確認します。
例えば、今後の売上代金の回収などによって資金が確保できるのであれば、短期融資による対応を検討しやすくなります。
長期融資で対応する場合
会社の資金繰りによっては、短期間で一括返済することが難しい場合もあります。
その場合、銀行が長期融資による対応を検討することもあります。
ただし、長期融資にすれば必ず審査に通るわけではありません。
長期融資では、毎月の返済額を抑えられる一方、長期間にわたって返済を続けられるかが重要になります。
決算資金の融資を毎回借り換えることはできるのか
決算資金を定期的に借り入れている会社では、半年ごとなどに融資を利用することがあります。
しかし、次回の決算資金の融資が必ず認められるわけではありません。
銀行は、その時点の業績や資金繰り、借入金の返済状況などを確認します。
また、返済期日が到来するたびに新たな融資を受けなければ返済できない状態であれば、銀行は資金繰りの構造に問題がないか確認することになります。
決算資金の融資審査で銀行が重視するポイント
銀行は決算資金の融資を審査する際、主に次の点を確認します。
1. 納税額や配当金額に根拠があるか
決算資金の融資では、融資希望額が実際の納税額や配当金額に見合っているかが重要です。
例えば、納税予定額が500万円であるにもかかわらず、決算資金として2,000万円を申し込んだ場合、銀行は差額1,500万円の資金使途を確認します。
必要金額を説明できなければ、融資希望額の妥当性を銀行内の稟議で説明できません。
2. 借入金の返済能力があるか
決算資金の必要性が認められても、銀行融資である以上、返済能力の審査が必要です。
銀行は、会社の利益やキャッシュフロー、既存借入金の返済負担などを確認します。
特に短期融資の場合には、返済期日に資金を確保できるかが重要です。
3. 決算資金以外の資金需要が含まれていないか
銀行が注意するのは、決算資金という名目で申し込まれた融資に、別の資金需要が含まれている場合です。
例えば、売掛金の回収遅延や赤字による資金不足などが、決算資金の融資希望額に含まれていることがあります。
この場合、銀行は決算資金とそれ以外の資金使途を区別して審査する必要があります。
ここからは、私が銀行の法人融資担当者として経験した事例を紹介します。
【銀行融資の実例】決算資金3,000万円のうち1,800万円に別の資金使途が含まれていた
私が銀行の法人営業を担当していたとき、金属製ネジの製造業を営むC社から決算資金の融資申込みを受けたことがあります。
C社は全国の機械メーカーなどに製品を納入している会社でした。
社長と経理を担当する奥様は真面目な人柄で、日頃の取引でも誠実な対応をされる方々でした。
C社に対しては、年2回、決算資金の融資を定例的に実施していました。
これまで1,000万円だった融資希望額が3,000万円に増えた
ある年の夏、C社からいつものように決算資金の融資申込みがありました。
私は当初、これまでと同じ決算資金の申込みだと考えていました。
ところが、融資稟議の準備を始めたところ、融資希望額に大きな変化があることに気づきました。
過去3回の決算資金融資額は、いずれも1,000万円でした。
しかし、今回の融資希望額は3,000万円だったのです。
従来の3倍の融資希望額になっていたため、銀行としては増額の理由を確認する必要がありました。
納税と配当金の支払予定額は約1,200万円だった
私はC社に対し、いつものように税金の納付書や配当金の支払計画書などの提出をお願いしました。
提出された資料を確認すると、納税と配当金の支払予定額は合計約1,200万円でした。
一方、C社の融資希望額は3,000万円です。
つまり、次のような差額が生じていました。
C社の決算資金融資申込み
| 融資希望額 | 3,000万円 |
| 納税・配当金の支払予定額 | 約1,200万円 |
| 説明が必要な差額 | 約1,800万円 |
決算資金として確認できる金額は約1,200万円です。
それにもかかわらず、3,000万円の融資を申し込んでいるということは、残りの約1,800万円について別の資金需要がある可能性が考えられます。
銀行の融資審査では、この差額を曖昧にしたまま稟議を進めることはできません。
差額1,800万円の理由は売掛金の回収遅延だった
私はC社の経理を担当する奥様に、納税や配当金の支払い以外にも資金が必要な事情がないか、率直に尋ねました。
すると、ある販売先からの売掛金の入金が遅れていることが分かりました。
C社の販売先には大手企業もありましたが、多くは比較的小規模な企業でした。
そのうちの1社からの売掛金回収が遅れ、C社の資金繰りに悪影響が出始めていたのです。
つまり、C社が申し込んだ3,000万円には、次の2つの資金需要が含まれていました。
- 納税と配当金の支払いに必要な決算資金:約1,200万円
- 売掛金の回収遅延に伴う資金繰り不足:約1,800万円
この2つは、銀行の融資審査では分けて考える必要があります。
決算資金と売掛金の回収遅延による資金不足は別問題
決算資金は、納税などの時期に発生する一時的な資金需要です。
一方、売掛金の回収遅延による資金不足は、回収の見通しによって性質が変わります。
売掛金が近いうちに回収できるのであれば、一時的な資金不足として対応できる可能性があります。
しかし、回収時期が分からない場合には、長期間にわたって資金繰りに影響する可能性があります。
さらに、売掛金が回収不能となる可能性も考えなければなりません。
このため、銀行としては、決算資金の約1,200万円と売掛金の回収遅延による資金不足を切り離して検討する必要がありました。
回収遅延による資金不足は銀行にとって慎重な審査が必要
私はC社に対し、売掛金の回収がいつ頃になる見込みなのかを確認しました。
しかし、奥様も明確な回収時期を示すことができませんでした。
売掛金の回収が遅れたままになると、会社の手元資金が不足し続ける可能性があります。
銀行が追加融資を行っても、売掛金が回収できなければ、融資の返済原資を確保できないおそれがあります。
したがって、売掛金の回収遅延を理由とする融資は、銀行として慎重に検討する必要がありました。
経営者の資質と販売先の分散状況を評価した
一方で、私はC社に対して、何とか資金繰りを支援できないかと考えていました。
その理由の1つは、社長と奥様の日頃の対応が誠実であったことです。
中小企業の融資審査では、決算書などの数字だけでなく、経営者が会社の状況を正確に把握し、問題に対して適切に対応できるかという点も重要です。
ただし、経営者の人柄がよいという理由だけで融資を行うことはできません。
私は、C社の事業内容や販売先の構成についても確認しました。
C社は小規模な販売先との取引が多かったものの、販売先は比較的分散していました。
特定の1社に売上の大部分を依存しているわけではなかったため、今回の回収遅延による影響が会社全体にどの程度広がるのかを検討する余地がありました。
銀行の上司と社長の面談を設定した
私はC社の融資について上司に相談しました。
当行はC社の主力銀行ではありませんでした。
そのため、上司から「主力銀行に相談するべきではないか」と判断される可能性もありました。
そこで私は、売掛金の回収遅延による影響が限定的と考えられる理由を説明するとともに、社長と上司との面談を設定しました。
私が社長の経営姿勢を言葉で説明するだけでなく、上司にも直接面談してもらうことが重要だと考えたからです。
面談では、会社の事業内容や経営状況、売掛金の回収遅延に対する対応などを確認しました。
決算資金とは別に長期融資を検討した
面談の結果、上司もC社の経営姿勢を評価し、決算資金とは別に、売掛金の回収遅延による資金繰り不足に対応する融資を検討することになりました。
決算資金については、納税や配当金の支払いに必要な金額をもとに検討します。
一方、売掛金の回収遅延に伴う資金不足については、短期間での回収が見込めない可能性もあるため、長期融資によって返済負担を抑える方法を検討しました。
ただし、回収遅延が続けば返済能力に影響する可能性があるため、銀行としては信用リスクへの対応も必要でした。
その結果、資金繰り安定のための融資については、信用保証協会付きの長期融資で対応することになりました。
この事例から分かる銀行融資の重要なポイント
C社の事例から分かることは、決算資金の中に別の資金需要が含まれている場合、その内容を明確にすれば、別の融資方法を検討できる可能性があるということです。
仮にC社が決算資金3,000万円という申込みにこだわり、差額1,800万円の理由を説明しなければ、銀行としては融資希望額の妥当性を判断できませんでした。
しかし、売掛金の回収遅延という実際の資金需要が分かったことで、決算資金とそれ以外の運転資金を分けて検討することができたのです。
銀行融資では、融資の名目よりも、実際に何のために資金が必要なのかを正確に説明することが重要です。
銀行融資・資金繰りのメール相談
「決算時の納税資金が不足している」「決算資金の融資を銀行に相談したい」「売掛金の回収遅延も重なり、資金繰りが厳しくなっている」といったお悩みはありませんか。
銀行融資では、必要な資金の使い道と返済の見通しを整理することが重要です。
決算資金や運転資金の借入れについてお悩みの方は、メール相談をご利用ください。
※融資の承認・実行を保証するものではありません。
決算資金に別の資金使途を含めてはいけない理由
銀行融資では、資金使途を明確にすることが重要です。
決算資金の融資であれば、納税や配当金の支払いなど、決算に伴う資金需要が融資の前提になります。
そのため、実際には売掛金の回収遅延による資金不足があるにもかかわらず、その金額を決算資金として説明することは適切ではありません。
銀行の融資稟議では資金使途の説明が必要
銀行の融資担当者は、融資を承認してもらうために稟議書を作成します。
その稟議書では、次のような内容を説明する必要があります。
- 融資の資金使途
- 必要な資金の金額
- 資金が必要になる時期
- 融資の返済方法
- 返済原資
- 会社の財務内容や業績
決算資金の必要額が1,200万円であるにもかかわらず、3,000万円の融資を申し込まれた場合、差額1,800万円の必要性を説明できなければ、稟議を進めることは難しくなります。
資金使途が異なれば融資期間も変わる
決算資金は一時的な資金需要として、短期融資で対応することがあります。
一方、売掛金の回収遅延による資金不足が長期化する可能性がある場合には、長期融資による対応を検討することもあります。
このように、資金使途が異なれば、適切な融資期間や返済方法も変わります。
したがって、資金需要を正確に区分することは、銀行にとっても借りる会社にとっても重要です。
決算資金という名目で隠す必要はない
経営者の中には、売掛金の回収遅延や資金繰りの悪化を銀行に説明すると、融資を断られるのではないかと不安に感じる方もいると思います。
しかし、実際の資金需要を隠してしまうと、銀行は適切な融資方法を検討できません。
銀行にとって重要なのは、資金不足が発生した理由と、その資金不足をどのように解消できるかという点です。
資金繰りに問題がある場合ほど、その原因を正確に説明することが融資相談の第一歩です。
決算資金の融資を受けるために準備したいこと
決算資金を銀行に申し込む際には、必要金額と返済計画を整理しておくことが重要です。
1. 納税予定額を早めに確認する
決算が確定する前でも、税理士などに相談して納税予定額の概算を把握しておくことをおすすめします。
納税期限の直前になって銀行に融資を申し込むと、審査に必要な時間を確保できない場合があります。
決算の見通しが立った段階から、必要な納税資金を確認しておきましょう。
2. 決算資金と通常の運転資金を分ける
納税資金のほかに、仕入代金や人件費などの運転資金が不足している場合には、それぞれの必要金額を分けて整理してください。
例えば、納税資金800万円、売掛金の回収遅延による資金不足500万円というように区分します。
そのうえで、銀行にそれぞれの資金需要を説明します。
3. 今後の資金繰り表を作成する
決算資金の融資を受けても、その後の返済によって資金繰りが悪化してしまうのであれば、根本的な解決にはなりません。
そのため、少なくとも向こう6か月から12か月程度の資金繰り表を作成し、納税後の預金残高や借入金の返済予定を確認することをおすすめします。
4. 返済原資を明確にする
銀行は、決算資金を融資した後、どのように返済されるのかを確認します。
例えば、今後の売上代金の回収や事業活動から生じる資金などが返済原資として考えられます。
ただし、売上代金が入金されても、同時に仕入代金や人件費などの支払いが発生します。
そのため、入金予定だけでなく、支払予定も含めて返済可能性を確認することが重要です。
5. 納税期限より前に銀行へ相談する
銀行の融資審査には一定の時間が必要です。
特に、決算資金以外の資金需要が含まれている場合や、業績が悪化している場合には、追加の資料提出や説明が必要になることがあります。
納税期限が近づいてから慌てて相談するのではなく、できるだけ早い段階で銀行に相談することをおすすめします。
決算資金の融資が難しい場合の対応
決算資金の融資を申し込んでも、会社の業績や返済能力などによっては、希望どおりの融資を受けられないことがあります。
その場合には、融資以外の対応も含めて資金繰りを検討する必要があります。
納税資金と他の資金不足を区分する
まず、納税に必要な資金と、通常の事業活動で不足している資金を分けて整理してください。
銀行が決算資金の融資には対応できても、他の資金需要については別途審査が必要になる場合があります。
返済方法や融資期間を銀行と相談する
短期融資での返済が難しい場合には、返済期間や返済方法について銀行と相談する余地があります。
ただし、返済期間を長くすることで必ず融資が認められるわけではありません。
会社の返済能力に見合った返済計画を立てることが重要です。
納税が難しい場合には税務署などへ相談する
銀行融資を受けられず、納税期限までに税金を納付することが難しい場合には、税務署や地方自治体の担当窓口へ早めに相談してください。
税金の種類や状況によっては、法令に基づく納税の猶予制度などを利用できる場合があります。
ただし、猶予制度には要件があり、必ず認められるわけではありません。
納税が難しい状況を放置せず、早めに相談することが重要です。
決算資金に関するよくある質問
Q1. 決算資金とは何ですか?
決算資金とは、会社の決算に伴って発生する法人税などの納税や、株主への配当金の支払いに必要な資金です。
銀行では、こうした一時的な資金需要に対応する融資を決算資金と呼んでいます。
Q2. 決算資金は銀行から必ず借りられますか?
いいえ。決算資金の必要性があっても、銀行の融資審査に通る必要があります。
銀行は、納税額などの資金使途に加えて、会社の財務内容や返済能力を確認します。
Q3. 決算資金の返済期間は必ず6か月ですか?
いいえ。決算資金では6か月程度の短期融資が利用されることがありますが、返済期間が一律に決まっているわけではありません。
融資期間や返済方法は、銀行の融資方針や会社の資金繰り、返済原資などによって異なります。
Q4. 赤字決算でも決算資金を借りられますか?
赤字決算だからといって、すべての決算資金融資が不可能になるわけではありません。
例えば、赤字でも消費税の納付が必要になる場合があります。
ただし、銀行は赤字の原因や今後の業績、返済能力などを慎重に審査します。
Q5. 決算資金の融資に売掛金の回収遅延による資金不足を含めてもよいですか?
決算資金と売掛金の回収遅延による資金不足は、資金使途が異なります。
そのため、銀行にはそれぞれの必要金額と理由を説明し、別々に検討してもらうことが適切です。
Q6. 決算資金の融資はいつ銀行に申し込むべきですか?
納税予定額の見通しが立った段階で、早めに銀行へ相談することをおすすめします。
審査に必要な時間は銀行や会社の状況によって異なるため、納税期限の直前ではなく、余裕を持って相談することが重要です。
決算資金とは何か|まとめ
決算資金とは、会社の決算に伴って発生する納税や配当金の支払いに必要な資金です。
銀行では、こうした一時的な資金需要に対応するため、決算資金の融資を行っています。
ただし、決算資金という名目であれば、希望する金額を自由に借りられるわけではありません。
この記事の重要ポイント
- 決算資金は、主に納税や配当金の支払いに必要な資金
- 決算時のまとまった支出による資金繰り負担を軽減するための融資
- 決算資金の融資額は、納税予定額などの必要金額をもとに審査される
- 返済期間6か月程度の短期融資が利用されることがあるが、一律ではない
- 銀行は融資希望額と実際の資金需要に差がないか確認する
- 決算資金と売掛金の回収遅延などによる資金不足は分けて検討する
- 必要な資金使途を正確に説明することで、適切な融資方法を検討できる可能性がある
- 納税期限の前に資金繰りを確認し、早めに銀行へ相談することが重要
今回紹介したC社の事例では、決算資金3,000万円の申込みに対し、実際の納税・配当資金は約1,200万円でした。
残りの約1,800万円は売掛金の回収遅延による資金不足であり、銀行は決算資金とは別に融資を検討しました。
銀行融資で重要なのは、融資の名目ではなく、実際に何のために資金が必要で、その資金をどのように返済するのかを明確にすることです。
決算資金の融資を検討する際には、納税予定額などの必要金額を確認し、今後の資金繰りと返済計画を整理したうえで銀行に相談することをおすすめします。
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銀行融資では、資金使途を正確に整理し、会社の返済能力に見合った融資方法を検討することが重要です。
決算資金や運転資金の借入れ、銀行との融資交渉、今後の資金繰りについてお悩みの方は、メール相談をご利用ください。
※融資の承認・実行を保証するものではありません。