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資金繰り

手元資金の目安

今後の備えて手元資金を積み上げておきたく融資をお願いしたい。
このような手元資金積み上げのための融資相談が意外に少なくありません。
手元資金はどれだけあれば良いのか、手元資金の目安について説明をします。

手元資金の目安に関する質問

電気工事の小さな会社を経営しています。
いますぐに資金は必要ではないのですが、今後の備えて手元資金を増やしておきたいと思います。
手元資金を増やすために融資はお願いできるものなのでしょうか。
また手元資金の目安についても教えてください。

手元資金の積み上げのための融資相談は少なくない

いますぐに資金は必要がないけれども、今後必要になるかもしれないので今のうちに手元資金を厚くしておきたいというニーズから融資相談は少なくありません。
何はさておき経営においては資金繰りが命ですから、今後の万が一に備えて手元資金量を高めておきたいというニーズは自然なことです。
手元資金ですから資金使途が明確にはなってはいませんが、このような手元資金積み増しのための融資は銀行では検討可能です。

手元資金積み上げのための融資 → 運転資金の一種として銀行融資の検討は可能

手元資金の目安

ではその手元資金ですがどれくらいが妥当な目安だと思いますか?
手元資金はもちろん多ければ多いほど良いのですが、当面の資金繰りに備えるという目的での手元資金積み上げの場合は、月商の3ヶ月程度が目安でしょう。
月商の3ヶ月分の手元資金があれば、急な資金繰りの変化にも対応ができるはずです。
手元資金が月商の1ヶ月程度であると、例えば入金予定が狂った場合などに資金繰りの維持に対応できない可能性があります。
そのため銀行から融資を受けて手元資金の水準を高めておくということには一定の合理性があります。

手元資金の目安 → 月商の3ヶ月程度が妥当な水準

銀行が手元資金積み上げ融資に応じる条件

では銀行が手元資金の積み上げを目的として融資に応じる条件にはどのようなものがあるのでしょうか。
ずばり銀行が手元資金積み上げの融資に応じる条件は、

・運転資金が必要な事業形態であること
・運転資金以外に流用される心配がない融資先であること
・手元資金の目安の範囲内での積み上げであること


です。
もちろん返済能力があることなど、融資全般に該当する条件は当然のこととして、手元資金積み上げ融資特有の条件としてはこの3つです。

運転資金が必要な事業形態であること

そもそも手元資金を積み上げておくのは今後の運転資金に備えるというのが目的のはずです。
したがって飲食業のような現金商売の事業形態においては運転資金は不要ですから、手元資金の積み上げの融資は対象外となります。
現金商売で運転資金が必要となるのは大半が赤字のための資金繰り補填ですから、このような場合は手元資金積み上げ融資ではなく、別の観点からの融資検討となります。

現金商売のように運転資金が不要な事業形態では手元資金積み上げのための融資は対象外

運転資金以外に流用される懸念がないこと

手元資金積み上げの融資は今後の運転資金に備えての予備的な融資ですからきちんと運転資金として使ってくれなければ困ります。
時々接する事例としては、融資を受けたことによって資金繰りに余裕が出来たため、それを将来に備えて手許に温存しておかないで、別のことに使ってしまうことがあります。
例えば株式を購入したり代表者や従業員に貸し付けたりすることです。
これは銀行としては資金使途の違反ですから看過することが出来ません。
日頃からのつきあいでそのようなことをする可能性のある取引先には、どれだけ今後のための手元資金積み上げと言われても素直に信用することは出来ませんから、融資には慎重になります。
また決算書の貸借対照表の資産項目に投融資の残高が多い取引先に対しても、上記のような心配が残りますから融資には慎重にならざるを得ません。

手元資金積み上げ融資は運転資金の先取り融資。きちんと運転資金として使用する信頼できる取引先に限定。

手元資金の目安の範囲内での積み上げであること

さきほど手元資金の目安は月商の3ヶ月程度と説明をしましたが、月商の6ヶ月程度の手元資金積み上げの融資相談はダメです。
現在の手元資金が月商の1ヶ月ほどであるため、月商の3ヶ月ほどにするための手元資金積み上げ融資相談であるべきです。
過剰な手元資金積み上げ融資は運転資金以外の流用される懸念が高まりますから、銀行としての安易に応じることは出来ません。

過度な手元資金積み上げ融資は無理

手元資金の目安のまとめ

以上、手元資金の目安と手元資金積み上げのための融資についてまとめますと次のようになります。

まとめ

・手元資金の目安は月商の3ヶ月程度
・手元資金積み上げの融資は検討可能
・そもそも運転資金が必要な事業形態であること
・手元資金積み上げは運転資金の先取り融資であり、運転資金として使用しなければならない
・過度な手元資金積み上げは運転資金以外に流用される懸念があり銀行からの融資は難しい

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