融資を受けている銀行から、突然電話がかかってくることがあります。
銀行からの電話に対して、「何か問題があったのだろうか」「融資の返済について確認されるのだろうか」と不安に感じる経営者もいるでしょう。
しかし、銀行から電話が来たからといって、必ずしも融資や会社の経営に問題があるわけではありません。
銀行が融資先に電話をする理由には、新たな融資の提案などの営業活動もあれば、決算書の提出依頼や業績・資金繰りの確認など、融資管理を目的とするものもあります。
銀行から電話が来る主な理由は、営業活動と融資実行後の管理業務です。
この記事では、銀行の法人融資業務に長年携わってきた立場から、銀行が融資先に電話をする7つの理由と、銀行員が電話を通じて確認していることを解説します。
銀行から電話が来る主な目的は2つ
銀行が融資先に電話をする目的は、大きく分けると次の2つです。
銀行が電話をする2つの目的
- 融資や融資以外の金融サービスを提案する営業活動
- 業績や資金繰りなどを確認する融資管理業務
銀行からの電話がすべて融資審査や返済に関係しているわけではありません。
一方、融資を受けている会社に対しては、銀行が定期的に経営状況を確認することがあります。
それぞれの目的を理解しておくと、銀行からの電話を必要以上に心配することはなくなります。
営業活動を目的とする電話
銀行は、融資先に対して新たな融資や金融サービスを提案することがあります。
例えば、運転資金や設備資金の融資、振込取引、外国為替取引、各種決済サービスなどの提案です。
また、銀行のグループ会社や提携先が提供するサービス、ビジネスマッチングなどを紹介する場合もあります。
これらは営業活動の一環です。
融資管理業務を目的とする電話
銀行が融資先に電話をするもう1つの大きな目的は、融資実行後の管理業務です。
銀行は、融資を実行した後も、融資先の業績や資金繰りなどを確認します。
銀行にとって重要なのは、融資を実行することだけではありません。
融資した資金が約定どおり返済されるかどうかを、継続的に確認することも重要な業務です。
そのため、銀行は決算書や試算表の提出を依頼したり、最近の業績や資金繰りについて質問したりします。
銀行から電話が来る7つの理由
それでは、銀行が融資先に電話をする具体的な理由を説明します。
1. 新たな融資や金融サービスを提案するため
銀行からの電話で比較的多いのが、営業活動を目的とする連絡です。
例えば、次のような案内があります。
- 運転資金の融資提案
- 設備資金の融資提案
- 既存借入金の借り換えに関する相談
- 振込や決済サービスの提案
- 外国為替取引や貿易取引の案内
- ビジネスマッチングなどの紹介
銀行の担当者は、取引先の資金需要や事業内容を把握し、新たな取引につなげるために連絡することがあります。
したがって、銀行から電話が来たというだけで、融資審査に問題が発生したと考える必要はありません。
2. 決算書や試算表の提出を依頼するため
銀行は、融資先の業績や財務内容を確認するため、決算書や試算表の提出を依頼することがあります。
決算書は、過去1年間の業績や決算日時点の財務内容を確認するための重要な資料です。
しかし、決算書だけでは現在の業績がわからない場合があります。
例えば、決算日から半年が経過している場合には、決算書に記載されている数字と現在の経営状況が異なる可能性があります。
そこで銀行は、直近の試算表の提出を求めることがあります。
これは、融資先の最近の売上や利益などを確認するためです。
決算書や試算表の提出依頼は、銀行の通常の融資管理業務として行われることがあります。
そのため、資料の提出を求められたからといって、必ずしも銀行が経営悪化を疑っているわけではありません。
3. 最近の売上や利益を確認するため
銀行は、融資先の最近の業績を確認するために電話をすることがあります。
例えば、次のような質問です。
- 最近の売上は前年と比べてどうですか
- 受注状況に変化はありませんか
- 利益率は改善していますか
- 今期の決算見通しはどうですか
- 主要取引先との取引状況に変化はありませんか
銀行は、業績の変化が借入金の返済能力に影響する可能性があるため、こうした確認を行います。
特に、前期の決算が赤字であった場合や、売上が大きく減少していた場合には、最近の業績を詳しく確認することがあります。
ただし、業績確認の電話があったからといって、銀行が追加融資を断る方針を決めているとは限りません。
4. 資金繰りの状況を確認するため
銀行が融資先に電話をする理由として、資金繰りの確認も重要です。
例えば、次のような質問が行われます。
- 最近の資金繰りに問題はありませんか
- 今後、大きな支払いの予定はありますか
- 売掛金の回収に遅れはありませんか
- 借入金の返済に支障はありませんか
- 今後、新たな資金調達の予定はありますか
銀行は、融資先が今後も借入金を返済できるかどうかを確認しています。
そのため、業績だけでなく、実際の入金や支払いの状況にも関心を持っています。
資金繰りが厳しくなっている場合には、その原因や今後の見通しを具体的に説明することが重要です。
5. 他の銀行からの借入状況を確認するため
銀行は、他の金融機関からの借入状況を確認するために電話をすることがあります。
例えば、次のような質問です。
- 最近、他の銀行から融資を受けましたか
- 他行の借入金残高に変化はありませんか
- 他行への毎月の返済額はどれくらいですか
- 今後、他の銀行から融資を受ける予定はありますか
銀行が他行借入を確認するのは、会社全体の借入金残高や返済負担を把握するためです。
自分の銀行からの借入金だけでなく、他行借入を含めた返済能力を判断する必要があるからです。
また、銀行の営業活動として、他行借入の借り換えなどを提案する目的で確認する場合もあります。
6. 借入金の返済状況を確認するため
銀行は、借入金の返済について確認するために電話をすることがあります。
例えば、返済口座の残高が不足している場合や、返済予定について確認が必要な場合です。
返済口座の残高不足によって引き落としができなかった場合には、銀行から入金を依頼する連絡が行われることがあります。
このような電話は、通常の営業活動や定期的な業績確認とは異なり、早めの対応が必要です。
また、融資の返済条件の変更について相談している場合には、今後の返済計画や必要資料について連絡が来ることもあります。
7. 融資の審査や契約手続きについて確認するため
銀行に新たな融資を申し込んでいる場合には、審査や契約手続きに関する電話が来ることがあります。
例えば、次のような連絡です。
- 融資申込内容の確認
- 資金使途についての追加質問
- 決算書や試算表などの追加資料の依頼
- 融資条件についての相談
- 融資契約の手続きに関する案内
銀行は、融資審査を進める中で確認事項が生じた場合に、融資先へ電話をすることがあります。
追加資料の提出を求められた場合には、必要な資料を確認し、正確な内容で対応することが重要です。
銀行からの電話が増えたら業績悪化を疑われているのか
銀行からの電話が以前より増えると、「銀行が当社の経営状況を心配しているのではないか」と感じる経営者もいるでしょう。
確かに、銀行が融資先の業績や資金繰りを懸念している場合には、確認の電話が増えることがあります。
しかし、電話が増えた理由はそれだけではありません。
業績や資金繰りに変化がある場合
売上の大幅な減少や赤字決算、資金繰りの悪化などがある場合には、銀行が経営状況を詳しく確認することがあります。
このような場合、銀行は今後の業績見通しや借入金の返済能力を確認するため、連絡の頻度を高めることがあります。
特に、返済に支障が生じる可能性がある場合には、銀行が資金繰り表などの提出を求めることもあります。
銀行が営業活動を強化している場合
一方、銀行が新たな融資や金融サービスの提案を積極的に行っている場合にも、電話が増えることがあります。
銀行の担当者が変更になった場合や、取引先の事業内容を改めて把握しようとしている場合にも連絡が増えることがあります。
銀行からの電話が増えたという事実だけで、銀行が融資先を問題視していると判断することはできません。
重要なのは、銀行がどのような内容を確認しているかです。
銀行は融資実行後にどのような管理業務を行っているのか
銀行は、融資を実行した後も融資先の経営状況を確認しています。
銀行の融資業務では、融資を実行した後に、借入金が約定どおり返済されるかどうかを継続的に確認することが重要です。
このような業務を、融資管理やモニタリングと呼びます。
業績の変化を確認する
銀行は、決算書や試算表などを確認し、融資先の売上や利益に大きな変化がないかを確認します。
例えば、前期に比べて売上が大幅に減少している場合には、その原因や今後の見通しについて質問することがあります。
また、赤字が続いている場合には、改善策や今後の利益計画などを確認することがあります。
資金繰りに問題がないかを確認する
銀行は、融資先の資金繰りにも関心を持っています。
決算書上では利益が出ていても、売掛金の回収遅れや在庫の増加などによって、資金繰りが厳しくなる場合があるからです。
そのため、銀行は資金繰り表や預金口座の動きなどを参考にしながら、今後の返済に支障がないかを確認します。
借入金の返済能力を確認する
銀行にとって、融資先が借入金を返済できるかどうかは重要な確認事項です。
銀行は、利益やキャッシュフロー、借入金の返済額などを確認し、返済能力を判断します。
また、他の金融機関からの借入金も含めて、会社全体の返済負担を確認することがあります。
このような融資管理業務の一環として、銀行から電話がかかってくることがあるのです。
銀行から業績や資金繰りについて電話が来た場合の対応
銀行から業績や資金繰りについて質問された場合には、現在の状況を正確に説明することが重要です。
銀行員は、単に「問題ありません」という回答だけでなく、その根拠を確認したいと考えています。
最近の業績を数字で説明する
例えば、銀行から「最近の売上はどうですか」と質問された場合です。
単に「順調です」と答えるよりも、具体的な数字を使って説明した方が、銀行員は状況を把握しやすくなります。
例えば、次のような説明です。
「今期の売上は前年同期比で約5%増加しています。主要取引先からの受注が増加していることが主な要因です」
このように、数字とその理由を合わせて説明することが重要です。
資金繰りに不安がある場合は早めに相談する
銀行から資金繰りについて質問された際に、実際には資金繰りが厳しくなっているにもかかわらず、「問題ありません」と説明することは避けるべきです。
銀行は、融資先の資金繰りに問題がある場合には、その原因や今後の見通しを確認する必要があります。
資金繰りが厳しい場合には、今後の入金予定や支払い予定を整理し、必要に応じて資金繰り表を使って説明しましょう。
早めに相談することで、追加融資や返済条件の見直しなど、取り得る対応を検討する時間を確保できる場合があります。
ただし、相談すれば必ず追加融資や返済条件の変更が認められるわけではありません。
わからない数字は確認してから回答する
銀行員から質問された内容について、正確な数字がわからない場合もあるでしょう。
そのような場合には、無理に回答する必要はありません。
「確認してから回答します」と伝え、資料を確認したうえで正確に説明することが重要です。
推測で回答し、後から資料と内容が食い違うことは避けたいところです。
銀行からの電話に折り返しがない場合、銀行はどう考えるのか
銀行から電話があっても、仕事などで電話に出られないことはあるでしょう。
電話に出られなかったこと自体が、融資審査で直ちに不利になるわけではありません。
しかし、銀行が折り返しの連絡を求めているにもかかわらず、長期間にわたって連絡が取れない場合には、銀行員が不安を感じることがあります。
連絡が取れない状態が続くと銀行は不安を感じる
銀行が融資先に連絡する理由には、決算書の提出依頼や資金繰りの確認など、融資管理上の重要な用件があります。
そのため、何度連絡しても返答がない場合には、銀行員は次のような疑問を持つことがあります。
- 会社の経営状況に何か変化があったのだろうか
- 資金繰りに問題が生じているのではないか
- 重要な連絡事項が伝わっていないのではないか
- 今後、必要な確認ができるだろうか
銀行は、融資先の経営状況を把握する必要があります。
そのため、連絡が長期間取れない状態は、融資管理上の懸念につながる場合があります。
銀行からの電話に出られなかったこと自体よりも、重要な用件について長期間連絡が取れない状態が続くことに注意が必要です。
連絡が取れないだけで融資条件が悪くなるわけではない
銀行からの電話に折り返しがなかったという理由だけで、融資金利が上がったり、追加融資が必ず断られたりするわけではありません。
融資の可否や条件は、会社の業績、財務内容、返済能力、資金使途など、さまざまな要素を踏まえて判断されます。
ただし、銀行が必要とする情報を長期間確認できない場合には、融資審査や融資管理に支障が生じることがあります。
そのため、銀行から重要な用件で連絡があった場合には、可能な範囲で早めに対応することが望ましいといえます。
電話に出られない場合は連絡できる時間を伝える
経営者が忙しく、銀行からの電話にすぐ対応できないこともあります。
そのような場合には、連絡できる時間帯を銀行の担当者に伝えておくとよいでしょう。
また、決算書や試算表の提出など、経理担当者が対応できる用件については、社内で連絡方法を整理しておくことも有効です。
銀行との連絡を円滑にすることは、必要な情報を正確に伝えるうえで役立ちます。
銀行からの電話で注意したいこと
銀行から電話があった場合には、用件に応じて対応することが重要です。
特に、融資や口座に関する連絡では、相手が本当に取引銀行の担当者であるかを確認することも大切です。
不審な電話では相手を確認する
銀行を名乗る電話であっても、不審な点がある場合には、その場で重要な情報を伝えないようにしましょう。
例えば、暗証番号やインターネットバンキングのパスワードなどを電話で求められた場合には注意が必要です。
不審に感じた場合には、いったん電話を切り、銀行の公式サイトや通帳などで確認できる正規の電話番号に連絡して確認しましょう。
重要な用件は内容を確認する
融資の返済や追加資料の提出など、重要な用件について連絡があった場合には、必要な対応と期限を確認しましょう。
また、融資条件の変更などについては、電話での説明だけで判断せず、必要に応じて書面や契約内容を確認することが重要です。
銀行からの電話に関するよくある質問
銀行から突然電話が来るのはなぜですか?
新たな融資や金融サービスの案内、決算書や試算表の提出依頼、業績・資金繰りの確認、融資手続きに関する連絡など、さまざまな理由があります。
電話が来たというだけで、融資や経営に問題があるとは限りません。
銀行から業績を聞かれるのは危険な兆候ですか?
必ずしもそうではありません。
銀行は通常の融資管理業務として、融資先の業績を確認することがあります。
ただし、業績が悪化している場合には、銀行が確認を詳しく行うことがあります。
銀行から試算表を求められるのはなぜですか?
直近の売上や利益など、現在の業績を確認するためです。
決算書だけでは最近の経営状況がわからない場合があるため、銀行は試算表の提出を依頼することがあります。
銀行からの電話が増えたら融資を回収されるのでしょうか?
電話が増えたという理由だけで、銀行が融資を回収する方針を決めているとは限りません。
営業活動や通常の融資管理業務によって、連絡が増える場合もあります。
ただし、業績や資金繰りに問題がある場合には、銀行が確認を強化することがあります。
銀行からの電話に出られなかったら融資審査に不利になりますか?
電話に出られなかったこと自体が、直ちに融資審査に不利になるわけではありません。
ただし、銀行が必要な確認を行えない状態が長期間続く場合には、融資審査や融資管理に支障が生じる可能性があります。
銀行から他行借入について聞かれるのはなぜですか?
会社全体の借入金残高や返済負担を把握するためです。
銀行は、自行の借入金だけでなく、他行借入も含めた返済能力を確認する必要があります。
銀行から電話が来る理由のまとめ
銀行から電話が来る理由は、大きく分けると営業活動と融資管理業務の2つです。
銀行は、融資を実行した後も、融資先の業績や資金繰り、返済状況などを確認しています。
そのため、決算書や試算表の提出依頼、最近の業績確認などを目的として電話がかかってくることがあります。
まとめ
- 銀行からの電話は営業活動と融資管理業務が主な目的
- 新たな融資や金融サービスの提案で電話が来ることがある
- 決算書や試算表の提出依頼は通常の融資管理業務として行われる
- 銀行は最近の業績や資金繰りを確認している
- 他行借入や返済状況について質問されることもある
- 電話が増えたというだけで経営悪化を疑われているとは限らない
- 重要な用件について長期間連絡が取れない状態は避ける
- 不審な電話では相手が本当に銀行員か確認する
銀行員の立場から申し上げると、銀行からの電話は融資先との取引を継続し、経営状況を把握するための重要な連絡手段です。
銀行から電話があった場合には、まず用件を確認し、必要な資料や情報を正確に伝えることをおすすめします。