資金繰り

資金繰りの立替期間とは?計算方法と必要運転資金の求め方を銀行員が解説

資金繰りの立替期間とは、売上代金が回収されるまでに、会社が実質的に資金を立て替える期間を示す指標です。

この立替期間を把握すると、事業を継続するためにどの程度の運転資金が必要なのかを考えることができます。

例えば、資金繰りの立替期間が2.69か月であれば、平均月商の約2.69か月分が必要運転資金の目安となります。

平均月商が1,000万円なら、必要運転資金の目安は2,690万円です。

立替期間が長くなるほど運転資金の負担が大きくなり、短くなるほど資金繰りが改善する傾向があります。

ただし、立替期間は決算書から計算する指標であり、実際の現金の支払いから回収までの日数と必ずしも一致するわけではありません。

この記事では、資金繰りの立替期間とは何か、貸借対照表を使った計算方法、必要運転資金の求め方、立替期間が長くなる原因と改善策、銀行融資での活用方法について、融資担当の銀行員の視点からわかりやすく解説します。

資金繰りの立替期間とは

資金繰りの立替期間とは、仕入れや在庫の保有、売上代金の回収といった事業活動において、会社が資金を実質的に立て替えている期間を示す指標です。

一般的に、会社は商品や原材料を仕入れ、製造や販売を行い、その後に売上代金を回収します。

しかし、売上代金を回収する前に仕入代金や経費の支払いが必要になることがあります。

このような支払いと回収の時間差によって、運転資金が必要になります。

資金繰りの立替期間は、この時間差を把握するための指標です。

立替期間を計算することで、売上規模に対してどの程度の資金が必要なのかを把握しやすくなります。

資金繰りの立替期間は、売掛債権・在庫・買掛債務の関係から、会社の運転資金がどの程度必要なのかを把握するための指標です。

立替期間が長い会社と短い会社の違い

例えば、平均月商が同じ1,000万円の会社でも、立替期間が異なれば必要運転資金の目安は変わります。

比較項目 A社 B社
平均月商 1,000万円 1,000万円
立替期間 1.5か月 3か月
必要運転資金の目安 1,500万円 3,000万円

A社の必要運転資金の目安は1,500万円ですが、B社は3,000万円です。

売上規模が同じでも、売掛金の回収条件や在庫の保有状況、仕入代金の支払条件によって、必要運転資金に差が生じます。

銀行が運転資金の融資を審査する際にも、売上高だけでなく、売掛債権・在庫・買掛債務のバランスを確認することが重要になります。

資金繰りの立替期間の計算式

資金繰りの立替期間は、次の計算式で求めます。

立替期間=売掛債権回転期間+在庫回転期間-買掛債務回転期間

売掛債権回転期間とは、売掛債権が平均月商の何か月分に相当するかを示す指標です。

在庫回転期間とは、在庫が平均月商の何か月分に相当するかを示す指標です。

買掛債務回転期間とは、買掛債務が平均月商の何か月分に相当するかを示す指標です。

ここでは、3つの項目をすべて平均月商で割る簡便的な方法を使用します。

売掛債権回転期間と在庫回転期間は資金繰りの負担となるため加算します。

一方、買掛債務は仕入代金などの支払いがまだ行われていない金額ですから、その回転期間を立替期間から差し引きます。

立替期間とキャッシュ・コンバージョン・サイクルの違い

資金繰りの立替期間と似た指標に、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)があります。

CCCは、一般に売掛債権の回収期間と在庫の保有期間を合計し、仕入債務の支払期間を差し引いて計算します。

基本的な考え方は似ていますが、計算に使用する数値が異なる場合があります。

例えば、CCCでは在庫回転期間の計算に売上原価を使い、買掛債務回転期間の計算に仕入高や売上原価を使う方法があります。

一方、この記事では銀行融資の運転資金分析で利用できるよう、平均月商を共通の分母とする簡便的な立替期間を説明します。

そのため、この記事で計算した立替期間を、厳密な意味での実際の在庫保有日数や仕入代金の支払日数と同じものとして扱わないようにしてください。

貸借対照表から立替期間を求める方法

資金繰りの立替期間は、貸借対照表と売上高を使って計算できます。

次の図をご覧ください。

資金繰りの立替期間を計算するための貸借対照表と売上高の具体例

これは、ある製造業の中小企業の貸借対照表と売上高を示したものです。

立替期間の計算では、次の3つの項目に注目します。

  • 売掛債権:受取手形と売掛金など
  • 在庫:商品、製品、原材料、仕掛品などの棚卸資産
  • 買掛債務:支払手形と買掛金など

実際の決算書では、電子記録債権や電子記録債務など、取引内容に応じて含めるべき項目がある場合もあります。

これらの金額と平均月商を使って、それぞれの回転期間を計算します。

平均月商の計算方法

平均月商とは、年間売上高を12か月で割った金額です。

平均月商=年間売上高÷12か月

例えば、年間売上高が1億2,000万円なら、平均月商は1,000万円です。

この平均月商を使って、売掛債権、在庫、買掛債務がそれぞれ何か月分に相当するのかを計算します。

ただし、売上の季節変動が大きい会社では、年間平均だけでは実際の資金需要を把握しきれない場合があります。

そのため、必要に応じて月次売上高や資金繰り表も確認することが重要です。

売掛債権回転期間の計算方法

最初に売掛債権回転期間を計算します。

売掛債権とは、受取手形や売掛金など、商品やサービスを販売したものの、まだ代金を回収していない債権のことです。

平均月商を使用する場合、次の計算式で求めます。

売掛債権回転期間=売掛債権÷平均月商

売掛債権回転期間の計算例。3期の推移を比較

この会社の売掛債権回転期間は、図の各期において2.05か月、2.64か月、2.94か月となっています。

例えば、売掛債権回転期間が2.94か月であれば、平均月商のおよそ2.94か月分に相当する売掛債権を保有していることになります。

これは、売上代金の回収に時間がかかっている可能性を示す目安です。

売掛債権回転期間が長くなると、売上が発生しても現金が手元に入るまで時間がかかるため、資金繰りの負担が大きくなります。

ただし、売掛債権が増えた理由は必ずしも回収遅延とは限りません。

決算期末に売上が集中した場合や、販売先との取引条件が変わった場合にも回転期間が長くなることがあります。

銀行員としては、売掛債権回転期間が長くなった場合、まずその原因を確認することが重要だと考えます。

在庫回転期間の計算方法

次に在庫回転期間を求めます。

在庫には、商品、製品、原材料、仕掛品などがあります。

平均月商を使った簡便な計算式は次のとおりです。

在庫回転期間=在庫金額÷平均月商

在庫回転期間の計算例。3期の推移を比較

この会社の在庫回転期間は、図の各期において1.18か月、1.45か月、1.30か月となっています。

例えば1.30か月であれば、平均月商の1.30か月分に相当する在庫を保有しているということです。

在庫を仕入れたり製造したりするためには資金が必要です。

しかし、在庫を保有している間は、その資金を現金として自由に使うことができません。

在庫が販売され、さらに売上代金が回収されることで、資金が手元に戻ってきます。

そのため、在庫回転期間が長くなるほど、一般的には資金繰りの負担が大きくなります。

なお、在庫が実際に売れるまでの期間をより厳密に分析する場合には、在庫金額を月平均売上原価で割る方法があります。

在庫回転期間が長くなる原因

在庫回転期間が長くなる主な原因として、次のようなものがあります。

  • 売上に対して仕入れが多すぎる
  • 販売が予定より進まず、商品が売れ残っている
  • 原材料や製品を必要以上に保有している
  • 製造途中の仕掛品が増加している

ただし、在庫が増えている理由が、今後の受注増加に対応するためである場合もあります。

そのため、在庫回転期間が長くなったという理由だけで、在庫管理に問題があると判断することは適切ではありません。

買掛債務回転期間の計算方法

最後に買掛債務回転期間を求めます。

買掛債務とは、支払手形や買掛金など、仕入れを行ったものの、まだ代金を支払っていない債務のことです。

平均月商を使う簡便な計算式は次のとおりです。

買掛債務回転期間=買掛債務÷平均月商

買掛債務回転期間の計算例。3期の推移を比較

この会社の買掛債務回転期間は、図の各期において1.18か月、1.32か月、1.55か月となっています。

例えば1.55か月であれば、平均月商の1.55か月分に相当する買掛債務があることになります。

仕入代金の支払いが猶予されている間は、その分の資金を手元に残すことができます。

したがって、買掛債務回転期間が長いことは、一般的には資金繰り上のプラス要因です。

ただし、買掛債務回転期間が長くなった原因が支払遅延である場合には注意が必要です。

仕入先との契約に基づく正常な支払条件の範囲であるかを確認する必要があります。

支払期日を守らずに支払いを遅延させることは、取引先との信用関係を損なうため避けなければなりません。

資金繰りの立替期間を計算してみよう

売掛債権回転期間、在庫回転期間、買掛債務回転期間がわかれば、立替期間を計算できます。

もう一度、計算式を確認しましょう。

立替期間=売掛債権回転期間+在庫回転期間-買掛債務回転期間

資金繰りの立替期間を3期分計算した具体例

この会社の立替期間は、図の各期において2.05か月、2.77か月、2.69か月となっています。

例えば、売掛債権回転期間が2.94か月、在庫回転期間が1.30か月、買掛債務回転期間が1.55か月の場合には、次のようになります。

2.94か月+1.30か月-1.55か月=2.69か月

つまり、資金繰りの立替期間は2.69か月です。

この数字を使うことで、平均月商の何か月分に相当する運転資金が必要なのかを把握できます。

3期の立替期間を比較する

今回の計算例では、立替期間が次のように推移しています。

項目 第1期 第2期 第3期
売掛債権回転期間 2.05か月 2.64か月 2.94か月
在庫回転期間 1.18か月 1.45か月 1.30か月
買掛債務回転期間 1.18か月 1.32か月 1.55か月
立替期間 2.05か月 2.77か月 2.69か月

第1期から第2期にかけて、立替期間は2.05か月から2.77か月へ長くなっています。

第3期には2.69か月へやや短縮しましたが、第1期と比較すると依然として長い状態です。

このように、立替期間は1期分だけを見るのではなく、複数期の推移を比較することが重要です。

銀行員としては、立替期間が長くなった場合、売掛債権・在庫・買掛債務のどの項目が原因となっているのかを確認します。

立替期間2.69か月が意味すること

立替期間が2.69か月ということは、平均月商の2.69か月分に相当する資金が、売掛債権や在庫などに実質的に固定されているということです。

まず、商品や原材料を仕入れてから販売するまでの流れを確認します。

在庫の保有から売掛債権の回収までの資金の流れ

在庫を保有している期間に相当する指標が1.30か月、売掛債権の回収期間に相当する指標が2.94か月です。

両者を合計すると4.24か月となります。

ただし、仕入れた時点で直ちに仕入代金を支払うとは限りません。

買掛債務によって、仕入代金の支払いを一定期間猶予されている場合があります。

この会社の買掛債務回転期間は1.55か月です。

したがって、4.24か月から1.55か月を差し引いた2.69か月が、資金繰りの立替期間となります。

売掛債権・在庫・買掛債務から求める資金繰りの立替期間2.69か月の考え方

なお、この計算は平均月商を使った概算です。

実際の現金の動きは、仕入れや販売の時期、入金条件、支払条件などによって異なります。

立替期間から必要運転資金を求める方法

立替期間がわかれば、必要運転資金の目安を求めることができます。

計算式は次のとおりです。

必要運転資金の目安=平均月商×立替期間

例えば、平均月商が1,000万円で立替期間が2.69か月の場合には、次のようになります。

1,000万円×2.69か月=2,690万円

つまり、売掛債権、在庫、買掛債務の関係から計算した必要運転資金の目安は2,690万円です。

ただし、これは会社が必ず2,690万円の現金を保有しなければならないという意味ではありません。

また、銀行から2,690万円を借りられるという意味でもありません。

実際に必要となる現金残高や借入金額は、手元資金、毎月の支払予定、季節変動、設備投資などによって異なります。

そのため、必要運転資金の計算結果と資金繰り表を組み合わせて確認することが重要です。

立替期間と所要運転資金の関係

立替期間を平均月商で計算している場合、必要運転資金は次の計算式でも求められます。

所要運転資金=売掛債権+在庫-買掛債務

例えば、次の会社を考えてみましょう。

項目 金額
平均月商 1,000万円
売掛債権 2,940万円
在庫 1,300万円
買掛債務 1,550万円

この場合、所要運転資金は次のようになります。

2,940万円+1,300万円-1,550万円=2,690万円

一方、立替期間は次のようになります。

2.94か月+1.30か月-1.55か月=2.69か月

平均月商1,000万円に立替期間2.69か月を掛けると、同じ2,690万円になります。

これは、3つの回転期間をすべて同じ平均月商で計算しているためです。

ただし、回転期間を小数点以下で四捨五入している場合には、計算結果に多少の差が生じることがあります。

立替期間は、所要運転資金を平均月商の何か月分に相当するかという形で表した指標ともいえます。

資金繰りの立替期間が長くなる原因

立替期間が長くなる主な原因は、売掛債権の回収期間が長くなること、在庫が増えること、買掛債務の支払期間が短くなることです。

売掛債権の回収が遅くなる

販売先からの入金が遅くなると、売掛債権回転期間が長くなります。

売上は発生していても現金が手元に入らないため、資金繰りの負担が大きくなります。

ただし、回転期間が長くなった原因が、取引先の支払遅延なのか、正常な売上増加によるものなのかを区別する必要があります。

在庫が増加する

売上に対して在庫が増えると、在庫回転期間が長くなります。

特に売れ残りや過剰在庫が増えると、仕入れや製造に投入した資金を回収しにくくなります。

一方、今後の受注増加に備えて在庫を積み増している場合には、事業上の必要性があることも考えられます。

仕入代金の支払期間が短くなる

仕入先への支払条件が短くなると、買掛債務回転期間が短くなります。

その結果、売上代金を回収する前に仕入代金を支払う必要が生じ、運転資金の負担が増えることがあります。

売上高が減少する

売掛債権や在庫の金額が大きく変わらなくても、売上高が減少すると平均月商が小さくなります。

その結果、回転期間が長くなる場合があります。

例えば、売掛債権が2,000万円の会社で、平均月商が1,000万円なら売掛債権回転期間は2か月です。

しかし、平均月商が800万円に減少すると、売掛債権回転期間は2.5か月になります。

売掛債権の金額が変わっていなくても、売上規模との比較では負担が大きくなっていることがわかります。

資金繰りの立替期間を短くする方法

立替期間を短くすることは、資金繰りの改善につながります。

具体的には次のような方法があります。

  • 販売先との入金条件を見直し、売掛金の回収期間を短縮する
  • 請求書の発行を早め、入金の遅れを防ぐ
  • 在庫管理を徹底し、過剰在庫や滞留在庫を減らす
  • 仕入先と相談し、無理のない範囲で支払条件を調整する
  • 売掛金の入金予定と買掛金の支払予定を定期的に確認する

売掛金の回収期間を短縮する

例えば、売掛債権回転期間を2.94か月から2.44か月へ短縮できれば、他の条件が同じ場合、立替期間は0.5か月短くなります。

平均月商が1,000万円であれば、必要運転資金の目安は500万円減少する計算です。

1,000万円×0.5か月=500万円

売掛金の回収条件を改善することは、銀行借入への依存を減らすことにもつながります。

過剰在庫を減らす

在庫が増えすぎている場合には、販売計画や仕入計画を見直すことが重要です。

特に、長期間販売されていない商品や、今後使用する見込みが少ない原材料などは、資金繰りを圧迫する原因となります。

ただし、必要な在庫まで減らしてしまうと、販売機会を失ったり、製造に支障が生じたりする可能性があります。

在庫削減は、事業に必要な水準を維持しながら進めることが大切です。

仕入先との支払条件を見直す

仕入先との取引条件によっては、支払期間の見直しを相談できる場合があります。

ただし、支払条件の変更には取引先の理解が必要です。

一方的な支払遅延や、取引先に過度な負担を求める方法は避けるべきです。

正常な取引関係を維持しながら、無理のない支払条件を検討することが重要です。

立替期間が改善すると必要運転資金はいくら減る?

立替期間の改善効果は、金額に換算するとわかりやすくなります。

例えば、平均月商が2,000万円の会社で、立替期間が3か月から2.5か月へ短縮した場合を考えてみましょう。

項目 改善前 改善後
平均月商 2,000万円 2,000万円
立替期間 3か月 2.5か月
必要運転資金の目安 6,000万円 5,000万円

この場合、必要運転資金の目安は1,000万円減少します。

2,000万円×0.5か月=1,000万円

このように、立替期間を短縮することは、運転資金の負担を減らすことにつながります。

ただし、これは計算上の改善効果です。実際に現預金がいくら増えるかは、売掛金や在庫、買掛金の実際の増減などによって異なります。

立替期間と銀行融資の関係

銀行が運転資金の融資を審査する際には、会社がどの程度の運転資金を必要としているのかを確認します。

立替期間は、その必要額を考えるための参考指標の一つです。

例えば、売上が増加すると、売掛金や在庫が増加し、必要運転資金も増えることがあります。

その場合には、売上増加に伴う運転資金の必要性を銀行に説明することが重要です。

一方、売上が増えていないのに立替期間が長くなっている場合には、売掛金の回収遅延や過剰在庫などが発生していないかを確認する必要があります。

銀行は必要運転資金だけでなく、会社の収益状況、返済能力、資金繰りなども総合的に確認して融資を判断します。

そのため、立替期間を計算しただけで融資が受けられるわけではありませんが、融資が必要な理由を説明するための材料として役立ちます。

銀行に運転資金の必要性を説明する方法

例えば、次のような会社を考えてみましょう。

  • 平均月商:1,000万円
  • 前期の立替期間:2か月
  • 今期の立替期間:2.5か月

前期の必要運転資金の目安は2,000万円、今期は2,500万円です。

つまり、平均月商が同じであれば、立替期間の長期化によって必要運転資金の目安が500万円増加したことになります。

銀行に追加融資を相談する際には、単に「500万円必要です」と説明するのではなく、次の点を整理することが重要です。

  • 立替期間が長くなった原因
  • 売掛金や在庫が増加した理由
  • 今後の売上や資金回収の見通し
  • 実際の資金繰りにおける不足額
  • 借入金の返済見通し

例えば、売上増加に伴って正常な売掛金が増えている場合と、回収遅延によって売掛金が増えている場合では、銀行の判断が異なることがあります。

銀行融資の相談では、必要運転資金の金額だけでなく、その金額が必要になった理由を具体的に説明することが重要です。

立替期間は毎月・毎期の推移を確認することが重要

立替期間は、銀行融資の申し込み時だけ計算するものではありません。

会社の資金繰りを管理するためにも、継続的に確認することが重要です。

決算書で複数期を比較する

まず、過去3期程度の決算書から立替期間を計算し、その推移を比較するとよいでしょう。

立替期間が長くなっている場合には、売掛債権・在庫・買掛債務のどこに変化があるのかを確認します。

特に、売上高が減少しているにもかかわらず売掛債権や在庫が増えている場合には、資金繰りへの影響を慎重に確認する必要があります。

試算表を使って直近の状況を確認する

決算書は過去の一定時点の数字です。

決算後に売掛金や在庫が大きく増加している場合には、直近の試算表を使って立替期間を計算することも役立ちます。

ただし、月次の数字を使う場合には、売上高の対象期間と貸借対照表の基準日を適切にそろえる必要があります。

季節変動が大きい会社では、直近12か月の売上高などを参考にする方法もあります。

資金繰り表と組み合わせて管理する

立替期間は、売掛債権・在庫・買掛債務から必要運転資金の規模を把握するための指標です。

一方、資金繰り表は、実際の現金の入金予定と支払予定を確認するための資料です。

例えば、立替期間が短くなっていても、特定の月に大きな支払いが集中すれば、資金不足が生じる可能性があります。

そのため、立替期間による財務分析と、資金繰り表による現金管理を組み合わせることが重要です。

中小企業の経営者にとって、売掛金・在庫・買掛金の状況を定期的に確認することは、資金不足を早期に発見するための有効な方法です。

こうした財務管理を継続することで、銀行から資金繰りや運転資金について質問された場合にも、数字に基づいた説明がしやすくなります。

資金繰りの立替期間についてよくある質問

立替期間とは何ですか?

立替期間とは、仕入れから売上代金の回収までの間に、会社が実質的に資金を立て替える期間を示す指標です。

この記事では、売掛債権・在庫・買掛債務を平均月商で割った回転期間から計算しています。

立替期間はどのように計算しますか?

売掛債権回転期間に在庫回転期間を加え、買掛債務回転期間を差し引いて計算します。

計算式は「売掛債権回転期間+在庫回転期間-買掛債務回転期間」です。

立替期間は短い方がよいですか?

一般的には短い方が運転資金の負担を抑えやすくなります。

ただし、事業内容や取引条件によって適切な水準は異なります。

同業他社との比較や過去からの推移も確認することが重要です。

立替期間が長いと銀行融資に不利になりますか?

立替期間が長いことだけで融資が難しくなるわけではありません。

銀行は立替期間が長い理由や必要運転資金の妥当性、返済能力などを確認します。

立替期間から銀行の借入可能額がわかりますか?

立替期間から必要運転資金の目安を計算することはできますが、その金額が銀行から借りられる金額になるわけではありません。

銀行は会社の財務内容、資金繰り、借入状況、返済能力などを総合的に判断します。

立替期間がマイナスになることはありますか?

あります。

例えば、売掛債権や在庫が少なく、仕入代金の支払猶予が比較的長い場合には、計算上の立替期間がマイナスになることがあります。

ただし、立替期間がマイナスであっても、会社全体の資金繰りに問題がないとは限りません。

人件費、設備投資、借入金返済などの支出も確認する必要があります。

立替期間は毎月計算した方がよいですか?

毎月の試算表などを使って計算すると、売掛金や在庫の増加などを早めに把握できます。

ただし、季節変動の大きい会社では、月ごとの数字だけで判断せず、前年同月や過去の推移も比較するとよいでしょう。

資金繰りの立替期間のまとめ

資金繰りの立替期間は、会社が事業を継続するために必要な運転資金の規模を把握するうえで役立つ指標です。

計算式は「売掛債権回転期間+在庫回転期間-買掛債務回転期間」です。

今回の計算例では、立替期間は2.69か月となりました。

平均月商が1,000万円であれば、必要運転資金の目安は2,690万円です。

立替期間が長くなるほど資金繰りの負担が大きくなる傾向があり、短くなるほど運転資金の負担を抑えやすくなります。

自社の立替期間を継続して計算し、その推移を確認することが大切です。

この記事のまとめ

  • 立替期間は売掛債権回転期間+在庫回転期間-買掛債務回転期間で求める
  • 平均月商を使えば必要運転資金の目安を簡単に計算できる
  • 立替期間が長くなるほど運転資金の負担は大きくなる傾向がある
  • 売掛金の早期回収や在庫削減は立替期間の短縮につながる
  • 銀行融資の審査でも必要運転資金を説明する参考資料となる
  • 立替期間と資金繰り表を組み合わせて管理することが重要

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立替期間を計算しても、現在の運転資金が適正なのか、銀行にいくら融資を申し込めばよいのか判断が難しい場合があります。

また、売掛金や在庫が増加して資金繰りが厳しくなっている場合には、立替期間だけでなく、今後の入金予定と支払予定を確認することが重要です。

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