信用保証協会の保証付融資を申し込むとその後に審査が行われます。
信用保証協会の保証付融資は信用保証協会が保証を行い銀行が融資を実行するスキームですが、その審査は信用保証協会と銀行のどちらが行うのかについて説明をします。
審査は銀行?それとも信用保証協会?
信用保証協会保証付融資は信用保証協会が直接融資を行うのではなく、銀行が融資を行いますが、審査は信用保証協会が行うのか、それとも銀行が行うのでしょうか?
答えは信用保証協会と銀行の両方が審査を行います。
以前は信用保証協会保証付の銀行融資は銀行はほとんど審査らしきものは行わず、実質的な審査は信用保証協会が行っていました。
しかし平成19年10月から信用保証協会保証付融資に原則として責任共有制度が導入されてからは、銀行もしっかりと審査を行うようになっています。
今までは考えられなかったことですが、信用保証協会の審査が通っても銀行の審査が通らないことも珍しいことではありません。
具体的な審査手法
では実際に信用保証協会保証付の融資において銀行の審査はどのように行われていると思いますか。
銀行の実質的審査は信用保証協会に保証依頼を行う前に実施します。
管理人の実際の実務経験から以下ご案内します。
申込みのあった信用保証協会保証付融資が銀行が2割のリスクを負担する責任共有制度の対象か、それとも原則として銀行のリスクはない100%保証の旧来からの制度かを確認します。
銀行のリスクがない100%保証の制度であれば、基本的に銀行は信用保証協会に保証依頼を行う方向で検討します。
ただこの場合でも現在までの顧客との取引状況や、資金使途の妥当性は最低限審査を行います。
延滞等が多く取引状況がよくない場合はお断りする場合もあります。
また資金使途が事業資金以外の使途であったり、財務状況があまりにも良くなく、単なる目先の資金繰りをつなぐ効果しか認められない場合もお断りすることになります。
一方で銀行が2割のリスクを負担する責任共有制度対象であれば上記の取引状況や資金使途の審査に加えて、さらに次の審査を行います。
それは顧客に信用格付に照らして、与信(=リスク)が取れるかどうかです。
顧客の財務状況などから銀行は顧客毎に信用格付を付与しています。
簡単に言えば銀行が点数をつける成績表です。
信用格付のランクに応じて、その顧客に対する与信限度や、適用利率、銀行の取引方針(積極的に融資を行うのか、現状維持か、あるいは回収方針かなど)などに照らして審査を行います。
顧客に対する与信限度はある意味絶対的なもので、これを超過する場合は融資をお断りすることになります。
また信用格付をベースにして顧客の債務者区分(正常先・要注意先・破綻懸念先・実質破綻先・破綻先)を定めていますが、一定以下の債務者区分の顧客に対して、信用保証協会保証付融資といえども、本部稟議が必要となります。
その他にも数点の審査が行われ、最終的に信用保証協会に保証依頼を行うとなれば、信用保証協会宛の申込み書類を受領し、それを信用保証協会に送付し、信用保証協会の審査を待つことになります。
最後は再び銀行での審査
信用保証協会での審査が終わり保証が決定となれば、改めて銀行にて審査を行います。
さきほどの申込前の審査で実質的な審査は終わっていますから、ここでは実質的な形式的な審査となります。
この審査が終了して初めて融資契約・実行の運びとなります。