取引銀行が1つの場合にはその銀行にだけ返済条件変更(リスケ)の相談を行えば良いのですが、複数の取引銀行から融資を受けている場合には少し注意が必要です。
複数の銀行と取引をしていると返済条件変更(リスケ)の相談時にはどのようなことに注意をしなければならないのかを説明します。
全ての取引銀行に返済条件変更(リスケ)を要請すること
複数の銀行から融資を受けている場合には返済条件変更(リスケ)の要請は融資取引がある取引銀行すべてに対して行う必要があります。
A銀行には返済条件変更(リスケ)の要請を行うがB銀行には返済条件変更(リスケ)の要請は行わずに今まで通り返済をしていくというのは認められません。
銀行間の平等が大事
返済条件変更(リスケ)は銀行側にとっては一種の痛みを伴います。
返済条件変更(リスケ)を行った融資は通常の一般の融資とは異なり回収に注意を要する融資債権に分類されます。
そのため返済条件変更(リスケ)を行った融資には通常よりも多めの貸倒引当コストを積まなければなりません。
貸倒引当コストは文字通りコストですからこれを多く積まなければならないということで銀行には痛手を伴うのです。
そのため返済条件変更(リスケ)は取引銀行すべてが平等にその痛手を受けることが原則です。
A銀行は返済条件変更(リスケ)を行うがB銀行は今まで通りではA銀行だけが痛手を被りますから、結果としてA銀行は返済条件変更(リスケ)に応じなくなってしまいます。
そのため返済条件変更(リスケ)は取引銀行すべてに要請を行う必要があります。
融資シェアに応じて返済を分配する
さて複数の銀行から融資を受けている場合にはそれら銀行すべてに返済条件変更(リスケ)の要請を行うわけですが、では毎月の返済額はどうなるのでしょうか?
これはプロラタ方式と呼ばれる方法で取引銀行に平等に分配されるのが一般的です。
例えば返済条件変更(リスケ)後は毎月50万円の返済なら可能とされるとします。
毎月50万円というのは返済条件変更(リスケ)を要請した会社等が返済可能なすべての金額です。
そして50万円をどのように取引銀行に分配するのかが問題となりますが、これは融資シェアに応じて配分することになります。
この融資シェアに応じて返済を配分することをプロラタ方式と呼んでいます。
プロラタ方式の例
上の図はプロラタ方式の例です。
A銀行、B銀行、C信金の3つの銀行等から融資を受けています。
それぞれの銀行からの融資残高と融資シェアは図のとおりです。
そしてこの融資シェアに応じて返済額をそれぞれの銀行に配分するのです。
まとめ
取引銀行それぞれ融資の条件は異なりますから、中には返済条件変更(リスケ)を行わずにそのまま返済を続けたいと考える場合もあるでしょう。
しかし返済条件変更(リスケ)においては取引銀行が平等に返済条件変更(リスケ)の痛みを分けちあうのが絶対原則です。
特定の取引銀行だけは返済条件変更(リスケ)の対象から外すということは認められません。