融資先である会社の財務内容の分析は銀行融資審査で最重要なプロセスです。
財務分析だけで融資先の信用力や返済能力を検証するわけではありませんが、審査プロセスにおいてもっとも大きな影響を受ける事柄です。
銀行融資審査の流れ
次の図は銀行での融資審査の流れを示したものです。
財務分析はこの融資審査の流れのなかで2番めの「業績はどうか?」の部分で実施されます。
財務分析と銀行融資審査
財務分析は銀行融資審査においてもっとも時間をかけて行う項目であり、融資審査の中心となるものです。
返済能力の分析
銀行としては融資した資金は最後の1円まで回収しなければなりません。
もし融資先が返済できなくなった場合、残った融資は最悪貸倒、つまり銀行の損失になります。
これは銀行としては絶対に回避しなければなりません。
返済能力に懸念があるにもかかわらず安易に融資を行えば、将来の貸倒、つまり損失が増加することとなり銀行自身の経営が成り立たなくなります。
したがって融資審査においては融資先の返済能力の分析はとても重要なのです。
審査における財務分析の意義
そしてその融資先の返済能力を検証するもっとも有効な手段が財務分析なのです。
財務分析によって融資先の返済能力を検証しているのです。
財務分析は貸借対照表と損益計算書の分析が中心となります。
貸借対照表も損益計算書もともに融資先企業の過去の成績を示したものです。
一方で融資の回収可能性は将来の融資先の業績に左右されます。
したがって財務分析で将来の業績を予想することは適切ではないと思われがちですが、過去の成績を基にした財務分析によって、企業の収益の動向や資産・負債バランスなどの構成を知ることによって、ある程度将来の姿を予測することが出来ます。
また将来の姿を予想することは誰しもが困難なことですから、過去の実績を基にして判断せざるを得ないとも言えます。
銀行からの質問には正直に
銀行は財務分析を通して不明点や疑問点があれば融資先に質問することになります。
その時、都合が悪い事柄について回答をあいまいにすることは逆効果です。
納得がある回答が得られなければ、銀行としては融資をしても良いのかどうか「腹落とし」が出来ないわけですから、消去法によって融資をしない判断に傾いてしまいます。
銀行からの質問に対しては正直に回答することが大切です。
もっとも融資先自ら悪い情報を銀行に話す必要はありませんが、銀行から指摘をされた場合にはきちんと正面から事実を説明した方が得策です。
下手に隠そうとか、ごまかそうとしても銀行員もプロですから見抜かれます。