売上代金として販売先から手形で支払いを受けることがありますが、この受け取った手形のことを受取手形と呼んでいます。
受取手形が資金繰りのどのような影響を与えるのかを説明します。
目次
受取手形とは
売上が発生すればすぐにその売上代金を現金で回収する形態を現金商売と呼んでいます。
例えばラーメン屋です。
ツケでラーメンを食べることはまずなく、食べる前に食券を購入するか食べ終わったらその場で現金で支払うと思いますが、このようなラーメン屋のような商売を現金商売と呼んでいます。
しかし現金商売の形態やラーメン屋のような飲食業や小売業などに限定されています。
多くの事業ではツケで販売することが通常となっています。
このツケで販売することを掛売りなどと呼ばれています。
掛売り後の代金回収
月末締めの翌月末回収という言葉を耳にされたことはないでしょうか。
今が3月だとしますと3月中の売上は3月末に締めてその代金は翌月末、つまり4月末に回収するということです。
では4月末にどのようにして販売先は支払ってくれるのでしょうか。
販売先がどのような支払方法を取るかはあらかじめ販売先との契約で決まっているはずです。
実際に多い支払方法は振込ではないでしょうか。
3月中に販売先に売った売上代金は翌月末の4月末に販売先が振込をすることで最終的に売上代金を回収するといった具合です。
ところが販売先の中には4月末に振込ではなく手形で支払いを受けるケースもあるでしょう。
この手形で支払いを受けて受け取った手形が受取手形です。
受取手形と資金繰りの関係
売上代金は資金繰りに必要なもの
そもそも売上代金は別の仕入代金の支払や従業員への給与の支払いなどに必要な資金です。
したがって資金繰り上はなるべく早く売上代金を回収したいところです。
受取手形ではさらに回収時期が延びる
ところが売上代金を受取手形で回収するということは振込の場合にくらべてさらに回収時期が後ろに延びることになります。
さきほどの月末締めの翌月末回収のケースで考えてみましょう。
3月15日に発生した売上は月末である3月31日に締めて翌月末である4月末に販売先から売上代金を回収することになります。
販売先が振込で支払ってくれるのであれば4月末に売上代金が回収できることになります。
しかしこれが受取手形の場合には4月末に手形で売上代金を回収することになります。
手形は支払期日になって初めて現金化する
手形はご承知のように手形のままでは現金としては使えません。
手形には支払期日というものが定められていますが、この支払期日になって初めて手形は現金化します。
従業員への給与の支払いに利用できるようになるのは支払期日になってからです。
それまでは使えません。
仮に4月末に支払期日が7月31日の手形を受け取った場合には、その手形が現金として使えるのは7月31日になってからです。
したがって3月15にに発生した売上代金を現金として使えるようになるのは7月31日となってからようやく使えるようになるのです。
受取手形を支払い手段として使用するには
このように受取手形で売上代金を回収した場合には、なかなか現金化しませんからそのままでは資金繰りを確実に圧迫します。
では受取手形を支払期日より前に支払の手段として使用できる方法はないのでしょうか。
実は受取手形を支払の手段として使用できる方法は2つあります。
銀行で手形割引を受ける
まずは銀行で受取手形を割り引いて買い取ってもらう方法があります。
銀行では利息分を差し引いて受取手形を買い取ってくれますので、買取代金として現金が手元に入ってきます。
そしてその現金を支払い手段として使用することができるのです。
なお受取手形の割引は融資と同じです。
そのため銀行では受取手形の割引に応じるかどうかの融資審査があります。
この融資審査に通らないと受取手形を割り引いてくれませんので注意が必要です。
裏書きして手形で支払う
もう1つ受取手形を支払い手段として使用する方法は、受け取って手形を裏書きして手形のままで支払うという方法です。
この方法であると受け取った受取手形をそのまま支払に使用することができます。
なお手形で支払うには支払先が手形での支払いに了解してもらっている場合のみです。
支払先との契約で振込で支払うことが決められている場合には手形のままで支払うことはできません。
資金繰りと受取手形の関係のまとめ
以上、資金繰りと受取手形の関係をまとめると次のようになります。
・そのため受取手形は資金繰りを悪化させる
・受取手形を利用するには手形割引と裏書きの2つ