銀行から融資を受ける際には何の目的で融資を使うのか、資金使途が定められています。
今回はある事例の銀行融資の資金使途違反のケースを題材にその後の銀行が取る対応について説明をします。
銀行融資の資金使途違反に関する質問
中小企業の経理部長をしている者です。
うちの会社は今まで必要な資金を社長から借入をしてきました。
数年後では社長を息子さんに承継する予定があります。
そのため一旦、社長からの借入金を清算することを考えました。
社長からの借入金はほとんどを会社の運転資金としてお願いをしてきたものです。
社長からの借入金を目的に銀行に融資の相談を行い、今回社長からの借入金の返済資金ということで銀行から融資を受けました。
しかし社長からは会社の資金繰りに余裕がないので、社長への返済は後回しにして銀行からの融資は運転資金として使うように指示を受けました。
ただし私としては銀行から社長からの借入金の返済資金として融資を受けましたので、それを運転資金に使うことは資金使途違反になるのではないかと心配をしています。
社長からは「もともと運転資金として俺が貸付をしたのだから、銀行からの融資を運転資金に使っても問題はない」と言われています。
社長が言うことに一理はあるようには感じますが、やはり資金使途違反ではないかと考えています。
やはり銀行から社長からの借入金の返済資金として融資を受けた資金を運転資金に使うことは資金使途違反でしょうか。
また資金使途違反を銀行から指摘をされた場合、銀行はどのような対応を取るのでしょうか。
質問のまとめ
・しかし社長からの借入金の返済には使わずに運転資金として使用した
・社長からの借入金はもともとは運転資金として使った
・運転資金として借入をした社長からの借入金返済資資金の融資を運転資金に使用することは資金使途違反となるのか
・資金使途違反を指摘された場合、銀行はどのような対応を取るのか
これは融資の資金使途違反です
まず結論から言って今回のケースは銀行融資の資金使途違反に該当します。
社長からの借入金の返済資金として融資を受けたのであれば、その融資を社長からの借入金の返済に充当する必要があります。
社長からの借入の返済には充当せずに運転資金として使用することは銀行融資の資金使途違反に該当します。
たとえ社長からの借入は運転資金として必要であったものを借入したものであっても、それは関係ありません。
社長からの借入金の返済資金という資金使途で銀行から融資を受けた資金を返済以外の目的に使用することは銀行融資の資金使途違反となります。
社長からの借入金の返済資金として融資を受けたものを返済に使用せずに運転資金として使用することは資金使途違反
資金使途違反に対する銀行の対応
さて、今回のケースで資金使途違反をした場合、銀行からは次のような対応を受けることが想定されます。
銀行の対応とは、
融資の全額一括返済
銀行から「まあいいです」とか「仕方がないですね」といった甘い対応は期待できません。
資金使途違反を指摘された融資全額の一括返済を求められることになるでしょう。
資金使途違反をして運転資金として使用したからもう手元に融資資金がないことを銀行はわかっていても、「それでは仕方がないですね」などと銀行は言いません。
融資の全額返済を求められるだけです。
資金使途違反のもう1つの大きなペナルティ
銀行融資の資金使途違反を行ってしまった場合、その融資の全額返済を求められる他にもう1つ、大きなペナルティが待っています。
それは今後二度と融資は受けられないということです。
仮に資金使途違反をしてしまった融資の全額を一括返済できたとしても、今後二度とその銀行から融資を受けることはできなくなります。
それは銀行融資の資金使途違反をした取引先を銀行はもう信頼しないからです。
融資をしてもまた資金使途違反をするのではないかと常に懸念を抱くようになります。
資金使途違反をした事実はずっと銀行内の情報として登録がされますから、担当者が変わっても支店長が変わっても銀行の対応に変化はありません。
資金使途違反をした場合、二度とその銀行からは融資が受けられない
銀行融資の資金使途違反に関するまとめ
以上、銀行融資の資金使途違反に関することをまとめますと次のようになります。
まとめ
・たとえ元々運転資金として社長から借入をしたものであっても資金使途違反となる
・資金使途違反をした場合にはその融資の全額一括返済を銀行から求められる
・そして二度とその銀行からは融資が受けられなくなる