今回は運転資金とつなぎ資金についてです。
つなぎ資金は運転資金の一部でありますが、銀行の融資の考え方は少し異なるところがあります。
運転資金とつなぎ資金のそれぞれの特徴と違いについてわかりやすく説明をします。
運転資金とは
飲食店や小売店は一般的に現金商売であり売上の発生とともに売上代金を即時に回収することができます。
私たちが飲食店で食事をする、コンビニエンスストアで買い物をする場合、その場で代金を支払います。
ただし飲食店や小売店以外の多くの事業では売上は掛売りで行われています。
つまり売上が発生してもその場ですぐに売上代金を回収するわけではなく、後日、販売先との契約で定められた日に販売先が代金を支払うことで売上代金を回収することになります。
よく「月末締めの翌月末回収」と言われますが、これはまさに掛売りのことで今月の売上を今月末に締めて売上代金は翌月末に回収するということになります。
一方で仕入の支払いや人件費などの経費は日々発生しています。
これらの支払いは売上代金にて対応をしたいところですが、売上代金が手元に入ってくるまでの間に支払が発生するものもあります。
そのため売上代金が回収されるまでの間に発生する支払に備えて資金を準備する必要があります。
これが運転資金です。
運転資金とは
つなぎ資金とは
例えば2ヶ月後には大きな売上の入金があるが、それまでは資金繰りが苦しいということがあります。
また建築工事を受注したものの、その建築代金は工事完成後のために建築工事に関わる材料費や外注費、人件費といったコストは建築代金が回収されるまでの間は資金を立替なければならないということもあります。
いずれも売上代金や建築代金が手元に入ってくるまでの間は資金繰りが厳しい、あるいは資金を立替る必要がある状態です。
このような場合に、売上代金や建築代金が手元に入ってくるまでの間の資金繰りを安定させるために行われるがつなぎ資金と呼ばれているものです。
運転資金とつなぎ資金の共通点
運転資金とつなぎ資金についてそれぞれ説明をしましたが、運転資金とつなぎ資金で共通していることはどちらも売上代金が回収されるまでの間の資金繰りの安定を図るものだということです。
したがって運転資金もつなぎ資金もそれぞれの返済の原資は売上代金ということになります。
つなぎ資金は運転資金の一部だとも考えることができます。
運転資金とつなぎ資金の共通点
運転資金とつなぎ資金の銀行の考え方
売上は常時発生しているものであり、これに伴い売上代金の回収までの資金繰りの安定の需要も常時発生しています。
本来であれば運転資金の融資はこれら1つ1つの売上に対応するものではありますが、売上は日々発生しており現実に1つ1つの売上に対応して運転資金の融資を行うことは困難です。
このため常に「このくらいの運転資金の需要がある」という概算で対応するのは運転資金の融資です。
運転資金の融資とは
一方で1つ1つの売上に対応するのがつなぎ資金の融資です。
売上の中には通常よりも大きな金額で発生するものもあります。
売上の金額が大きいと資金の立替需要も大きくなり、通常の運転資金では対応しきれないことがあります。
また通常とは異なるプロジェクトなどの売上で回収時期が平均よりも長くなるケースもあります。
このような特別な売上に対応するのがつなぎ資金の融資です。
つなぎ資金の融資とは
つなぎ資金の融資の活用
このようにつなぎ資金の融資は通常の売上とは異なるケースに対応する一時的な融資です。
そのためいつもより大きな受注案件が発生した際にはこのつなぎ資金の融資で銀行に相談することをおすすめします。
つなぎ資金は特定の売上の代金回収までのつなぎですから、銀行からすると短期間で返済される融資でありかつ返済原資が明確であるという特徴があります。
そのため銀行としても比較的取り組みがしやすい融資案件です。
このようなことから一時的にせよつなぎ資金の融資を活用することにより通常よりも大きな金額の融資が受けられる可能性があります。
運転資金とつなぎ資金の違いのまとめ
以上、運転資金とつなぎ資金のそれぞれの特徴と違いについてまとめますと次のようになります。
まとめ
・運転資金の融資は個々の売上を特定せずに概算で必要な資金需要に対応するもの
・つなぎ資金は通常よりも多額など特定の売上に対応する融資
・つなぎ資金の活用により通常よりも大きな金額の融資が受けられる可能性がある