資金繰り

その預金、本当に使えますか?

資金繰り改善のヒントはここにあるの記事では貸借対照表の資産項目に資金繰り改善のヒントがあることをご案内しました。
今回は貸借対照表の資産項目でトップバッターに出てくる現預金について見ていこうと思います。
現預金ですから原則として自由に使える資金です。
それにもかかわらず「なぜ資金繰り改善と関係があるのか?」と疑問に感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしこの現預金にも資金繰りが改善できるところがあるのです。
キーワードは固定性預金です。

銀行預金の種類を理解しよう

みなさん既にご承知のこととは思いますが、銀行預金の種類についてここで確認しておきましょう。
銀行預金には大きく流動性預金と固定性預金があります。
流動性預金とは普通預金とか当座預金のことです。
そして固定性預金とは定期預金と考えてください。
普通預金とか当座預金のような流動性預金は自由にいつでも使うことが出来ますよね。
定期預金も担保になっていない限りは使いたいと思えば解約すれば自由に使うことが出来ます。
しかし担保にもなっていないにも関わらず実際は自由に解約して使えない定期預金があるのです。

銀行融資の事実上の担保になっている

次のある会社の貸借対照表をご覧ください。
貸借対照表
現預金が78百万円余りあります。
これだけ現預金があれば資金繰りにまず困ることはないだろうと想像出来ますよね。
ところがこの会社はいつも資金繰りが忙しいのです。
それはなぜかと言いますと現預金78百万円のうち、実に70百万円が定期預金になっているのです。
これだけでは「解約すればいいのでは?」ということになるのですが、実は事実上は解約して使えない理由があるのです。
別にこの70百万円の定期預金が借入の担保になっていないにも関わらずです。
次の貸借対照表をご覧ください。
貸借対照表
長期借入金が89百万円ほどありますね。
実はこの会社はある銀行から80百万円の長期借入金があるのですが、さきほどの70百万円の定期預金は長期借入金の正式担保にはなっていないものの、事実上の担保になっているのです。
どういうことかと言いますとこの銀行は定期預金70百万円があるからこそ80百万円の長期借入金をこの会社に実施しているのです。
銀行の融資の拠り所ということですね。
もちろん、銀行は融資の条件、融資の見返りとして担保として取る場合は別として預金を拘束してはなりません。
ただ「定期預金70百万円があるから80百万円の融資をしても大丈夫だろう」という銀行の判断には一定の理屈があります。
仮にこの定期預金がなければ銀行が80百万円の融資を実施したかどうかは疑問です。
10百万円、20百万円程度の融資に留まった可能性があります。
この会社とこの銀行とは長い取引がありますから、お互いあうんの呼吸で今のような状態になっているのです。

預金と借入金の両建はやめましょう

さきほどのケースですと定期預金70百万円に対して借入金80百万円でした。
借入金には当たり前のことですが利息がかかります。
返済もあります。
仮にこの借入金80百万円の借入期間が5年だとすると、年間16百万円(80百万円÷5年)の返済をしなければなりません。
差額は10百万円になりますが、そうだとすると借入金10百万円にして定期預金を解約して使った方が効率的だと思いませんか?
かかる利息も少なくなりますし、返済負担も軽くなります(借入期間が同じ5年だとすると年間返済額は10百万円÷5年=2百万円)。
資金繰りが改善されるはずです。

ここがポイント

昔は銀行との取引関係から不要な定期預金取引が推奨されました。ただし現在では会社も銀行も取引に対する考え方は大きく変化しています。定期預金は例えば納税に備えてであるとかボーナスの支払いに備えて積立定期預金程度に留めるべきです。資金繰りの改善、効率を図った捻出出来た資金を事業に活用しましょう

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