売上総利益について銀行融資の審査においては主に次のようなポイントにて分析をしています。
同業他社比の売上総利益率の水準
売上総利益率について同業他社との比較を行います。
比較を行うことで同業他社との競争力を測ることが出来るからです。
売上総利益率が同業他社比高ければ競争力があると評価出来ます。
一方で同業他社比低ければ、何が悪いのか、つまり何がコストを上げているのかを確認します。
売上総利益率の推移の確認
売上総利益率の数年間の推移を確認します。
数年間の総利益率の推移を確認することで融資先の企業が取り扱っている製品・商品の競争力を把握することが出来ます。
売上総利益率が上昇傾向にあれば、取り扱い製品・商品の競争力があると評価することが出来ます。
一方で低下傾向にあれば、取り扱い製品・商品の競争力が低下していることを示していますから、代替品の取り扱いを検討するなど何らかの対策が必要と言えます。
売上総利益率の変動で粉飾決算を見破る
粉飾決算の方法は多岐・高度化していますが、粉飾決算を見破る方法の1つとして売上総利益率の変動に注意をしています。
売上総利益率の変動に注意をすることである程度の粉飾決算を推測することが出来るからです。
例えば売上総利益率が上昇し、かつ在庫回転期間が長期化している場合には、架空在庫の計上により利益を操作している可能性があります。
在庫を実際よりも多く計上すれば、それだけ売上原価が低下します。
売上原価が低下するということは売上総利益率が上昇することにつながります。
売上総利益率について銀行から質問を受けた場合には、単に利益率の改善・悪化に対する質問にとどまらず、「粉飾しているのではないか」と銀行に疑問を持たれている可能性があります。
このような場合には(粉飾をしていない限り)その理由を丁寧に説明し銀行の理解を得ることが大切です。
売上総利益率に限りませんが、銀行から質問を受けた場合には丁寧に説明し、銀行を納得させることが大切なのです。
売上が低下しているにもかかわらず売上総利益率が改善している
一般的に売上が増えればコストは下がり、売上が低下すればコストは上昇します。
したがって売上が低下しているにもかかわらず売上総利益率が改善することは通常では考えられないことなのです。
このような場合にはコストを過少に計上している疑問が浮上します。
売上が下がったにもかかわらず、なぜ利益率が改善したのかはしっかりと銀行に説明する必要があります。
材料価格が上昇しているにもかかわらず売上総利益率が上昇している
銀行員は材料価格の趨勢にも関心を持っています。
例えば原油価格が上昇しているにもかかわらず利益率が改善するのはやはりおかしいはずです。
銀行員を納得させる説明が必要です。